2020年度「賃上げアンケート」調査/3ヶ月前から大幅悪化 | 上下左右

上下左右

台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

東京商工リサーチが2020年6月29~7月8日にインターネットで賃上げアンケートを実施し、有効回答1万3,870社を集計・分析したところ、前回調査の結果(2020年度「賃上げアンケート」調査 過去5年で最低に)から大幅に悪化しました。前回調査(3月27日~4月5日)の時点で賃上げ予定と回答した企業が過去5年で初めて8割を割り込む結果になっていましたが、今回の調査では8割どころか6割を割り込む結果になりました。

前回調査(3月27日~4月5日

今回調査(6月29~7月8日
前回調査は緊急事態宣言が発令される直前のアンケートでコロナショックの影響がまだ小さい時期でしたが、コロナショックが本格的に影響するようになり僅か3ヶ月で賃上げを実施すると回答した企業は14.6%も減少しました。
なお産業別で「実施した」の割合が最も高かったのは、
①製造業:62.8%(3,949社中、2,480社)
②卸売業:60.8%(2,968社中、1,807社)
③建設業:59.9%(1,624社中、973社)
逆に最も低かったのは、金融・保険業の29.4%(170社中、50社)とのことです。意外なことに宿泊業や旅行業、飲食業などが含まれるサービス業他の「実施率」は、49.6%とそれほど低くありません(それでも平均よりは低いのですが)。
過去記事[企業の人手不足感が急速に解消/過剰感が急増]で人手過剰と答えた割合の高い業種(宿泊、飲食、娯楽サービス、製造業)もそれなりの賃上げは実施しているようです。金融・保険業は母数が少ないとはいえ、賃上げ実施率が3割に満たないという壊滅的な結果となりました。

来年の最低賃金の協議が今まさに行われているところですが、このような状況ではそうそう上げることはできないでしょう。今年は雇用を維持することを第一に考えて動いてほしいと思います。