米 EUに最大100%の関税上乗せ方針 対立深まる | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。


発動時期も未定でアメリカも国内の意見を聞きながら判断するとのことですからどこまで実現するかは分かりませんが、原案では係争中の飛行機だけでなく魚介類や果物、金属、衣類などに新たに最大100%の追加関税をかける予定とのことです。

これはWTOで係争中の飛行機に関する補助金を巡る案件に基づくもので、アメリカはすでにWTOが承認した最大75億ドル(約8千億円)の報復関税により航空機に10%、ワインやチーズなどに25%の関税を上乗せしているわけですが、更に追加の措置を行うようです。

なおWTOはアメリカの肩を持ったわけではなく、アメリカの補助金もWTO違反だと判決を出しており、EUも200億ドル相当のアメリカ製品に関税を出す準備中で、2020年にWTOから何かしらの承認が下りる見込みとなっています。

米中の貿易戦争が取り上げられがちですが、アメリカとEUもかなり深刻な貿易戦争を行っており、今後の世界経済は更なる失速が予想されます。
日本はこの失速が始まるタイミングでTPP、日欧EPAと大型EPAを取りまとめましたが、今年の貿易動向を見る限り世界的な貿易縮小の流れの方が影響は大きいようです。
仮に日本が日米貿易協定を拒否していれば、アメリカが日本に対しても自動車等の関税引き上げ措置を取ったであろうことは想像に難くなく、その場合には更なる貿易の失速と日本経済の失速が起きていたでしょう。
アメリカの貿易強硬姿勢は決して他人事ではなく、日本にも十分襲いかかってくる可能性のあるものです。実際に鉄鋼の関税は引き上げられましたし、自動車も標的になることを大統領自身が公言しています。

日米貿易協定に限りませんが、政策の是非を判断する際にはその政策の善し悪しだけでなく実施しなかった場合の善し悪しも合わせて検証するようにしましょう。