TPP発効後も下がり続ける薬価 | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

薬価下げ1000億円抑制 診療報酬マイナス改定へ

<引用>
厚生労働省と財務省は2020年度の予算編成での診療報酬の改定について、薬の公定価格(薬価)を引き下げて国費の投入を約1000億円抑制する。一方で医師らの人件費部分は小幅に増やす方向で調整する。薬価引き下げの抑制額の方が大きく、診療報酬の改定率は全体でマイナスとする。医療費の伸びを抑制し、患者負担を軽減する。
(後略)

今年の10月にも薬価は下がったばかりですが、来年もまた下がる方向で進められています。
目的は記事に記載のとおり医療費の伸びを抑制して患者負担と国庫負担を軽減するためですが、その分割を食うのは当然医薬品メーカーです。
TPPに反対する陰謀論者は「TPPで医薬品メーカーの利益拡大を求められるため、薬価が引き上げられる」と主張していましたが、見事に真逆の展開になっていますね。

というのも当たり前の話で、TPPでは公的医療保険や公的年金などの社会保障制度については対象外であると定められています。医薬品については交換文書(サイドレター)で別途規約がありますが、これも『国の保健医療当局による国の保健医療制度の実施における透明性及び手続の公正な実施の重要性も認める。日本国及び合衆国は、各政府が、それぞれ次に掲げる医療機器の扱いに関し、附属書二十六-A第三条(手続の公正な実施)との整合性について少なくとも現在の水準を維持することを確認する』というもので、薬価の引き上げに繋がるものではありません。
日本医師会は『医療制度が透明性の対象になる』と公式に懸念を表明していましたが、透明性の対象になってどんな支障があるんでしょうね?

日本国内の都合で日本国内の薬価を引き下げ続けるわけですが、「(TPPにおける)全ての規定が国内の保険給付における価格決定手続に関する現行制度の範囲内。」としてきた政府の説明が正しかったことが示された形です。TPPに関するQ&A(医療分野)

日米貿易協定においても同様に『日本の医療制度が崩壊する』などと主張する輩がいますが、まずはTPP発効後の状況を振り返ってほしいですね。