11/19に衆議院の採決となることが決まったようです。
https://www.jiji.com/sp/article?k=2019111300784&g=pol

アメリカにTPPから逃げられてしまったのは残念ですが、最低限の内容で合意(再協議規定はありますが)できたのは及第点といったところでしょうか。

今回の日米貿易協定は下記の点がTPPと異なりますので、以前のTPP反対派も文句はつけられないでしょうね。

①関税やセーフガード、商品名称の取り決め(北海道ワインなど一部の商品について、日本の該当地域で作られていないものは勝手に名乗れない)等限定的な内容である。
これによって「TPPで問題なのは農産物ではなく金融や保険」「投資や公共事業が外資の言いようにされる」等の寝言は通用しなくなりました。

②関税削減や撤廃の範囲がTPPより緩い。
米が完全に対象外になり、砂糖もほぼ全面的に対象から外れました。

③既に全文が公開されている。
TPPもかなり情報公開されていましたが、今回の協定は批准前に全文が公開されています。さすがに秘密交渉とは言えませんね。

④正文に和文が含まれる。
TPPの正文は英語、フランス語、スペイン語のみでした。これについて「日本語が正文に含まれないのは政府による情報隠蔽だ」などと文句をつける人がいましたが、今回の協定は和文も正文になっています。
元々3ヵ国以上が参加する国際協定で日本語が正文になっているものなど一つもないんですけどね。(流石に戦前の協定は分かりませんが)
更に言えば2ヶ国の協定で日本語が正文になっていないのは民主党政権が署名した日印EPAぐらいだったりします。

逆に得られたものも当然TPPよりは少ないです。自動車の関税撤廃の明記や自動車部品の早期関税撤廃、アメリカの政府調達(公共事業)への参入、輸出補助金の禁止などが無くなりました。

そういった諸々のマイナスはありますが、この日米貿易協定による最大のメリットは「日米両国は、これらの協定が誠実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らない。」と、アメリカの拡大通商法による関税引き上げを辛うじて阻止したことでしょう。
本来同盟国相手にそんな「安全保障上の脅威国に対する措置」を警戒しなければならないのがおかしいのですが、何せ相手はトランプ大統領ですのでこれまでの常識は通じません。トランプ大統領以前にこの措置が発動したのはイランとリビアというバリバリの反米国家だけでしたが、トランプ大統領は既に日本の鉄鋼に対してもこの措置を発動させていますので油断はできませんでした。(過去形で語るのは尚早かもしれませんが)

この貿易協定自体に文句をつけるのは流石に夢想家だけでしょう。問題はその後の「投資やサービス」分野の交渉ですが、日本も南米南部共同市場(メルコスール)とのEPA交渉を匂わせるなど盤外戦術を始めています。
日米の物品協定が固まった以上、アメリカは取り敢えずはこれ以上の関税撤廃を要求できませんが、日本は世界最大の牛肉輸出国であるブラジルと貿易協定を結ぶことができます。これが成されればアメリカの日本への牛肉輸出が減少することはほぼ間違いないため、日本がアメリカの牛肉輸出を左右する立場に立てるということです。

日本外交の強かさに期待しましょう。