今日のオークランドでの試合はプレイングコーチの二人を含めて10人が集結。
うち二人は15歳未満の中学生。
投手継投の事情で元代表チームのバッテリーだったプレイングコーチの二人が先発するというので、私がたった一人の交代要員として「ベンチスタートで頼む」となりました。

選手に万一怪我があったら困るから出場がなくても構わない事と若い人達にそれぞれ最も適したポジションでプレーしてもらいたいという事で、継投の事情でむしろ出てもらわないとアカンという事であれば外野でも内野でもどこでも必要な所に配置してくれと再確認。

対戦相手はリーグのトップチームという事でナックルボーラーの元代表投手をもってしても試合の大勢は早々に決し、試合の主目的が若手の経験を積む場と化したところで私の出番となりました。
左翼を守っていた14歳が初マウンドに上がるところでまず空いた左翼へ。ストライクが入らなくなりイニングを終えられず彼がマウンドを降りる所で今度は二塁へ移動(遊撃手が投手、二塁手が遊撃へ移動)。
そして悲劇は訪れました(苦笑)
毎度毎度久方ぶりの打球のパターンが訪れますが、今日は右打者の放った打ち損じの高く舞い上がった飛球。こちらは千葉マリンほどではないにせよ風がほどほどに吹いておりそうでなくても難しいのですが、この久々のスピンの利いた飛球は最後にスピンの利いた方向に落ちてきますが久しぶり過ぎてそこまで計算できず見事にノータッチで落下。
確かにともに落下点に近付いた一塁手と背後の右翼手が気になったのは確かですが、久方ぶりのものを常に処理できない状況が続き本当に潮時を感じるばかり。いや、既に潮時と思っていたからこそプレーからは離れ研究に没頭したのだが、10年前できた事が出来ない、チームの助けとなり切れない状況にもどかしさを感じます。

最終回に巡ってきた打席。
相手は130km/h前後の角度ある速球主体の先発投手が投げ続けていました。
1アウトから私の前の14歳がゴロで二遊間を破って安打。続く私が遊ゴロで走者が入れ替わりました。直後、捕手から投手への返球が暴投となったところで二進。
試合前にコーチが語った今日の試合のテーマはズバリ走塁。「サインは今日は一切ないからチャンスがあればどんどん盗塁してもらいたい」と熱く語ったコーチ。
先発マウンドに上がり、失意に降りたはずの彼のためにも、出塁したものの勇気がなくてスタートを切れないでいた若い人達のためにも、何とかアウトになっても良いからスタートを切りたいと思っていました。ましてや先週からチームの練習時に機会を見つけては一人何度となく練習を繰り返した二塁からの三塁への盗塁。これは大きなチャンスでした。
途中から相手ベンチから漏れる笑い声に対する悔しさも当然ありました。
「今日が俺の最後かもしれない…やってやろう」
メジャーやプロでは御法度でしょうが、ここはアマチュア。しかも発展途上の若い人たちが伸びようとしている場。遠慮する事なく完全に盗んで投手がモーションに入る前にスタート。
記録には残らないかもしれませんが簡単に三塁を陥れて、相手ベンチから漏れた大きな声は"That's disgusting!"(そいつはムカつく!)でしたが、スカッとしました(笑)
打席のバッターが直後完全な打ち損ないで投前内野安打を放って生還し、初回に続く二点目をあげ、トップチームたる相手にとっては本当にムカつく失点になった事でしょう。
しかし、昨日書いた通り左膝はもう限界ですから、本塁を踏む手前で私はもう転びそうでしたが(苦笑)

高橋慶彦に憧れに憧れて野球に没頭した少年時代。
ミットモナイ事が多くなってしまった今日の私だが、少しでもその意地を見せられて良かった。

朝の集合時に既にコーチには左膝の状態が急激に悪化しているのでプレーは今日が最後になるかもしれない旨伝えました。その場で今後もチームのサポートは喜んでさせてもらうよと語りあったせいか、今日は試合前のノックも任せてもらいました。今後は打撃投手など本来担うべき裏方の仕事が私の主戦場となって行くでしょう。

南半球の果てで不便な事も多くある一方で言葉の事情でなかなか思うように物事を伝えられずチームには苦労をかけていると思いますが、非常に良い経験をさせてもらっているなあ…カミさんともそう語りあって家路につきました。