前の家は22年前に買い、入居。　隣人は私より数年年配の気の良い親父、キプロス(サイプレスと呼ぶが)からの人でギリシャ語を話すので英語にも訛りが有るが、話好きで、独り住まいを始めた3年後には、とても気に入られた。　

独り住まいした我が家は(隣もほぼ同じ)敷地が4000平米(1300坪程)で家の床面積は440平米あり、独りで住むには広過ぎたので、彼は私が引っ越しして行かない様にと言いながら、週に一度は食事を持って来てくれた。　

庭作業を一緒にしたり、お互いの得意な分野で手伝い合ったり、と良い隣人だった。　

彼はBBQ,特にラムのBBQは上手。　ある時、羊2頭分のラムを仕入れパーティにBBQ した程。　今の家内が来てからは家族同士の付き合いになり、食事に呼ばれる事も多く楽しい日々を過ごした。　

しかし、2年前に我々が広い敷地の維持が難しいと、普通の住宅街に引っ越し、たまにしか電話しなくなった。　点滴治療が始まる前に電話したが外出中なのか居ず、8月初胃を切る手術がある前、生涯入院も手術もした経験がないので、少し話してみたくて電話。　奥さんが出られて「トーマス？」と言った瞬間、涙声になり、彼は昨日死んだ、と。　え、どうしたのと尋ねると、泣きながら屋根から落ちたと言う。　

信じられなかったし、何と慰めて良いのも。　その上、手術の為の入院間近で訪問する訳にも行かず、悲しい出来事だった。　

親父の思い出