庭という、植物や石を商品として消費するために歪めに歪めた、言わば人工物の極地みたいなものを見て「自然の美しさ」とか言いだす人間、サイコパスっぽくて滑稽ですよね。





















はよ後編書けや!!!!!


ごめんなさい。鋭意制作中です。
先程まで名乗ってすらいないことに気づいて急いで編集しています。Drs巽です。
(クラファンありがとうございました。本当にありがとうございました。)


これはレコーディング日に記録した史上最悪の後方視界




さてさて、11月も中旬。街角の葉が色づき始めると、せっかく京都にいるんだから、どこか紅葉でも見に行きたいな~と思う人も多いはず。でもだいたい毎年インスタのストーリーで季節を感じて終わります。大抵。コンテンポラリー紅葉狩り。


コンテンポラリー紅葉狩りをする図


とはいえ今更誰かと予定を合わせるのも面倒。一人で行くにしても、東福寺とか高山寺とか永観堂とか、葉の枚数より人の頭の数のほうが多いんじゃないかというレベルの人混みにお一人様ダイブするのも疲れるし、有名な寺社だとどうにもカップルが目につく。さらに行き帰りの交通機関でカップルが目につくことがあるし、何よりカップルが目につく上にカップルが目につく。

しかしここは京都です。

寺社仏閣なぞ星の数ほどあるわけですから、どんな文化的景観を見ても「エモい」か「ジブリみたい」の二択の感想しか出て来ない、ストーリーで顔面がキラキラしている上にふざけたフォントで「愛がなんだ」って書いてあるようなインスタ大学生にまだ目をつけられていない風光明媚な隠れ紅葉スポットが結構あるわけです。

そこには理想的な老い方をしているアベック(死語)、近所の住民、思い悩む主婦、あるいは住職しか(すら)いません。静まり返る庭で心置きなく紅葉狩りを嗜むことができます。

稀にカップルがいますが、

「お前ら………ええセンスしてるやん……………」

と謎の仲間意識が芽生えるので問題ありません。

山科の毘沙門堂門跡 今回は紹介しませんが、おすすめです


というわけで今回は、
僕が今までに訪れた紅葉スポットの中から、特に雰囲気が素晴らしい、かつ人口密度が低いものをいくつかエリア別にピックアップしてみました。

※皆さんがちょうど紅葉の見頃にお出かけできるよう、見頃の少し前に撮影した画像があります。色づいた様子を見たい方は自らの足で訪れてみてください。
※各評価項目は独断と偏見です。

~大原エリア~


   古知谷阿弥陀寺


住所:左京区大原古知平町83(京都バス「古地平」徒歩15分)

拝観時間:9:00~16:00

拝観料:500

見頃:11月上旬~12月上旬

規模:☆☆☆

過疎度:☆☆☆

これもはや登山やろ度:☆☆☆☆

到達難易度:☆☆☆☆

Google Mapクチコミ数:140



「京都 大原 三千院 恋に疲れた女が ひとり」とか言ったりしますが、歌による知名度もあってか、もう三千院で一人になれるシチュエーションなどなかなかありません。


ちなみにこの歌詞の「恋に疲れた」の部分、「疲れた」とも「憑かれた」とも取れるようになってるの秀逸ですよね。


「女ひとり」を女3人で歌う動画


この三千院に向かう鯖街道を、もう2km程頑張って進むと、左手に謎のスペースが見えてきます。



山間なので、早くから紅葉の見頃が訪れる


ここ、公共交通機関で行くことも不可能ではありません。


しかし唯一の手段であるバスが、大原までなら15分に1本の十分に実用的な頻度で走っているのですが、大原から先になると突然一日7本の限界ローカル路線になってしまいます。


ハイキング好きやサイクリング好きでない限りは車で訪れることを強くおすすめします。




どこかスピリチュアルな造形の門が見えてまいりました。ここが今回訪れる「古知谷阿弥陀寺(こちだにあみだじ)」なんですが、

なんとここからだいたい500mの登山を強いられます。



この先に寺があるらしい 何の変哲もない林道トレックができる



登り切ると出てきた寺。天然記念物の樹齢800年の楓もあり、見頃になるとこの辺全部紅葉する



寺以外、杉林、といった感じで秘境感満載である



日曜昼なのに誰もいなかった 可愛いサイズの庭に季節の花がぎっしり


この庭も年中季節の花が綺麗であり、特に紅葉とともに有名なのが大文字草と呼ばれるこの可憐な花です。名前の由来はこの大の字に開いた花弁で、日陰がちな山地に咲くため、近所ではなかなかお目にかかれません。


豊富な植物の他にも、世にも珍しい即身仏(僧侶が、究極の修行として"永遠の瞑想"に入った末にそのままミイラ化したもの)など、見所が多いので、大自然と文化を浴び足りてない方は是非。



大文字草 かわいい



そして多い



境内に貼ってあった絶望的な時刻表


東山エリア


   赤山禅院


住所:左京区修学院開根坊町18(叡山電鉄「修学院」徒歩20分)

拝観時間:9:00~16:30

拝観料:無料

見頃:11月上旬~12月上旬

規模:☆☆☆☆

過疎度:☆☆☆

トイレの開放感:☆☆☆☆☆

到達難易度:☆☆☆

Google Mapクチコミ数:543



叡山電鉄の修学院駅から閑静な住宅街を登っていくと、突然まあまあ大きい鳥居が出現します。




…寺なのに、鳥居?????

と思われた方も多いでしょう。実はこの寺院、寺院なのに泰山府君という道教の神を祀っており、明治時代の神仏分離令のあとも、神仏習合の形式を取り続けたのです。高校日本史でやりましたよね~本地垂迹説とか。



中に入ってもなお、寺と神社の中間の雰囲気が常に漂う



観光地価格で値段を吊り上げる自販機が多い中、ここは何故か普通の自販機より良心的な価格



境内の至るところ紅葉が綺麗なのですが…


なんとここ、一本だけ秋から咲いてる寒桜があるんです。一般的に寒桜というと、だいたい12月に咲きだす八重桜のイメージがありますが、ここは一重で梅のようなサイズの可愛い桜が普通に秋から咲いており、紅葉との奇跡のコラボを楽しむことができるのです。



時空が歪んだ写真が撮れる


境内はかなり広く、拝観料不要のわりに見応えのあるお寺です。かなりオススメ。



ひとつ欠点があるとすれば、トイレがオープンエア過ぎる


   安楽寺


住所:左京区鹿ケ谷御所ノ段町21(京都市バス「錦林車庫前」徒歩15分)

拝観時間:10:00~16:00

拝観料:500

見頃:11月中旬~12月中旬(散り紅葉)

規模:☆☆

過疎度:☆☆

デートコースへの組み込みやすさ:☆☆☆☆☆

到達難易度:☆☆

Google Mapクチコミ数:266

HP: http://anrakuji-kyoto.com/





南禅寺や永観堂などが立ち並ぶエリアより琵琶湖疏水沿いを北上し銀閣寺付近まで至る「哲学の道」は、その立地と魅力的な景観から著名な観光街道となっているわけですが、実はこの道をちょっと逸れると、素朴な茅葺きの山門の法然院、滅多に内部が公開されない椿の名所である霊鑑寺などの魅力的な寺院が点在しています。


この迫力である 12月になると散り紅葉の絨毯も楽しめる


ここで紹介するのは浄土宗の安楽寺。普段は門は閉まっており、春と秋に一般公開されます。こぢんまりとした境内では本堂、書院、庭園を見ることができ、30分ヘッドで住職さんが寺の縁起等について説明してくれます。



通年公開してないのに、カフェが併設されている 地域の京野菜「鹿ケ谷かぼちゃ」のメニューもある



通年公開してないのに、こんな手水がある かわいい


南禅寺から少し足を伸ばして、可愛らしい空間で一服するのも一興でしょう。なお、期間限定公開となりますので、日程にお気をつけ下さい。今年の公開予定は下の通りです。




   光明院


住所:東山区本町15丁目809(京阪電車「鳥羽街道」徒歩5分)

拝観時間:7:00~日没

拝観料:500

見頃:11月下旬~12月中旬

規模:☆☆

過疎度:☆☆

僕の平均滞在時間:約2時間

到達難易度:☆

Google Mapクチコミ数:456

HP: https://komyoin.jp/



京都の紅葉スポットとして、東福寺の通天橋はあまりにも有名です。今回はその東福寺の塔頭(大規模な寺院の周辺に点在する、いわばサブ寺)に当たる、光明院という寺をご紹介します。



この光明院、皆さんご存知のJR東海のキャンペーン「そうだ、京都行こう」のポスターとして2000年に抜擢され、それなりに知名度を上げたのですが、ちょっとそのポスターを見てみましょう。



当然、京都の人に京都の宣伝をする必要はないため、実は「そうだ、京都行こう」の企画は京都での知名度がめちゃくちゃ低い


コピーライターって、

すげぇ仕事だな!?


ガーデニングっていう語彙に一元化されるのに腹が立つ人もいるかも知れませんが…とにかく、この昭和の作庭家重森三玲作の「波心庭」は個人的にトップクラスで好きな庭です。次点で実相院の石庭です。




ここばかりは定期的に訪れているのですが、季節だけでなく、日の傾きに伴う石の影の角度も相まって、本当に様々な表情を見せるため飽きません。




この庭の魅力は、写真という二次元の媒体では到底伝わらないので、ぜひ皆さん“訪れて”みて下さい。




…少し話がそれるんですが、SHOW-GOというヒューマンビートボクサーの方のMVのロケ地としてこの庭が登場したそうです。この人、僕は塾の生徒に激推しされて知ったのですがこれ一体どうなってるんですか?????口4つぐらいありません?????僕は4万かけてClap Stackのシンバルを買ったのにこの人は口でハンドクラップ音出してるしそれしつつ歌ってるの本当に意味がわからない、もう音楽にドラム必要ないのでは。世界中で話題になっている方だそうです。要チェックです。 


北山エリア


  吟松寺


住所:北区鷹峯千束町32(京都市バス「鷹峯源光庵前」徒歩10分)

拝観時間:-

拝観料:-

見頃:11月中旬~12月上旬

規模:☆

過疎度:☆☆☆☆☆

どこ?(笑)度:☆☆☆☆☆

到達難易度:☆☆

Google Mapクチコミ数:27



さて、ここまで「知る人ぞ知る」みたいな寺院等を紹介してきましたが、そろそろ「ガチで誰も名前を聞いたことがない」ゾーンに入ってまいります。しかしここ、秘境であるわりに京都駅からバス1本の停留所から徒歩圏内と、意外とアクセス優良物件なので行き方を詳細に説明しようと思います。




やって来ました、京都駅から市バス6系統、北大路駅から北1系統で乗り換え無しでたどり着けてしまう「鷹峯源光庵前」。下車するとすぐに紅葉の名所である源光庵と光悦寺が見えてきますが今回はガン無視します。




道なりに進めば辿り着くはずなのですが、なんということでしょう。道がありません。



は????????


えげつない急勾配が100m弱続いています。何が恐ろしいってそこそこの交通量がある点です。車同士が坂の途中で鉢合わせようもんなら、どちらかが号泣しながら崖っぷち限界離合をするか、どちらかが号泣しながら激坂50m鬼バックをしないといけないため、進入する際はライトを点灯の上ミラーをよく確認して通行しましょう。


車は聞いたことないエンジン音をたてて登っていく


ちなみにこの坂、自転車乗り界隈で「足をつかずに登りきれるか」みたいなので有名らしいです、物好きもいるもんだな…



坂を降りて左に鋭角に曲がると、明らかに紅葉しているエリアがあるのでもう迷いません。



ひっそりとした谷底に、木々が高密度でひっそりと佇みます。江戸時代前記に創建されたこの浄土宗の寺は、恵心僧都作と伝わる本尊の阿弥陀如来を安置しているらしいんですが、そもそも観光化されていないので残念ながら門の中には入れません。

我々よそ者が訪れる際は、くれぐれも敷地内にみだりに立ち入らず、外からゆっくり眺める程度に留めておきましょう。


2017年に撮影


しかしここ、僕が高校1年生のときに自力で発見したのですが、近年タクシー運転手の間で知名度が上がっておりツアーついでに観光客を連れてくるらしく、年々人の数が増えている気がします。


2019年に撮影


地元のライブハウスで見つけた名もないバンドがだんだん売れてメディアへの露出が増えていくのを、どこか嬉しく、どこか寂しく見守っているのと似たような気分ですね。知らんけど。静謐な雰囲気を味わいたいなら今のうちにどうぞ。


  讃州寺


住所:北区大宮釈迦谷(京都市バス「鷹峯源光庵前」徒歩10分)

拝観時間:-

拝観料:-

見頃:11月中旬~12月上旬

規模:☆

過疎度:☆☆☆☆☆☆☆

これもはや不法侵入やろ度:☆☆☆☆☆

到達難易度:☆☆☆☆☆

Google Mapクチコミ数:6



各バロメータとGoogle Mapクチコミ数“6”から察せるように、

今回の記事中ダントツでやばい物件です。

どのくらいやばいかというと、文献によっては廃寺とされている場合もあるほどやばいです。しかし、他のサイトでは「住職が常駐していないお寺」という表現も見られるので、まあとりあえずそういうことにしておきましょう。


この寺、到達難易度というよりかは発見難易度が当然高いのですが、先ほど紹介した吟松寺から目と鼻の先にあるため、こちらも行き方を詳しく説明しましょう。



先程のとんでもねえ坂を降りて今度は右手に目を向けると、意外とすぐに讃州寺の門(?)が出てきます。

→去年まで門らしきものがあったんですが撤去されてました。従って本当に目印が皆無になりました。



嘘だろ…



分かれ道を左に進む 右は水道局の施設でガチ不法侵入になるので注意



ここ進むのかよ…



突然、寺らしきものが


そこに出てきたのは寺のような建物と何体もの可愛らしいお地蔵さんと、立派な杉の木。この寺は大徳寺の塔頭であり、もともと京都市の中心部にあったものの慶安年間にここに移転してきたそう。




お地蔵さんには花が供えられており、地元の人達による定期的な参拝はあるらしいですが、基本はどう足掻いても一人になれます。くれぐれも遭難だけ気をつけて下さい。あんまりこれ以上奥にいくと熊用の罠とか仕掛けてあったりするので引っかからないでください。真面目に。


西山エリア


⑦   竹の寺地蔵院


住所:西京区山田北ノ町23(京都バス「苔寺」徒歩3分)

拝観時間:9:00~16:30

拝観料:大人500円 小中高生300

見頃:11月中旬~12月上旬

規模:☆☆☆

過疎度:☆☆☆

ツイッター投稿の犬の割合:72%

到達難易度:☆☆

Google Mapクチコミ数:535

HP: https://www.takenotera-jizoin.jp/



金閣寺などの"北山"エリア、そして銀閣寺や清水寺などの"東山"エリアは京都観光において有名ですが、同じく"西山"という単語も存在するわけです。嵐山から松尾を経て大原野に至るこのエリアは、その山の全域に渡って竹林が多く見られるのですが、苔寺や鈴虫寺の程近くに位置するこの地蔵院も「竹の寺」の二つ名を持つぐらいには、美しい竹林に囲まれた参道を持ちます。



鈴虫寺のバス停から南下すると、明らかにこれだろっていう感じの竹林と紅葉が見えてくる



駅ピアノならぬ「寺ピアノ」がある ただし気軽に弾ける、みたいなノリではなく演奏の"奉納"である



住宅街から突然のこの参道である 色づきはゆっくり


南北朝時代に、武将細川頼之が建立したこの禅寺は、あの一休さん生誕の地としても知られています。紅葉も綺麗ですが、個人的にここは初夏の青紅葉がおすすめ。


ちなみに公式ツイッターは、そのほとんどが犬のくうちゃんの画像です。



京都市登録文化財の枯山水庭園、十六羅漢の庭 枯山水なのに砂とかはない 南天、松、山茶花が力強く鎮座する



若者ウケを狙ったとかではなく「猪目」と呼ばれるちゃんと古来からある文様 もうすぐこの窓から紅葉を覗くことができる


⑧   善峯寺


住所:西京区大原野小塩町1372

(阪急バス「善峯寺」徒歩8分)

拝観時間:紅葉シーズン6:30~土日祝8:00~平日8:30~17:00

拝観料:大人500円 高校生300円 小中学生200

見頃:11月上旬~12月上旬

規模:☆☆☆☆☆

過疎度:☆

阪急バス運転手のドラテク:☆☆☆☆☆

到達難易度:☆☆☆☆

Google Mapクチコミ数:1457

HP: http://www.yoshiminedera.com/



最後に紹介するのがここ。いやぼちぼち有名じゃねえかと思った方ごめんなさい。僕が個人的に一番推しているので書かせていただきます。そこそこ人はいますが敷地もめちゃくちゃ広く人口密度も相対的に低いので許してください。


すっげえ規模の駐車場があるので満車の心配は基本ない


善峯寺は、京都の西の洛西のさらに西の大原野のさらに西の山上に位置します。京都の南西、つまり縁起の悪い裏鬼門を、鬼門(北東)の延暦寺とともに守っています。なんせ山なので、基本アクセスは車か路線バスです。自転車でも到達不可能ではないですが、駐車場のおじさんに「あっ…」みたいな顔されて原付置き場に案内されます。僕はされました。





山は気温が下がるので、僕の知る寺の紅葉ではトップレベルに発色が良い


この寺、とにかく敷地が広く、迷路のようになってるんです。その巨大な庭園は紅葉だけでなく、桜、紫陽花、秋明菊などでも著名で、年中楽しむことができます。中でもとりわけ有名なのが、天然記念物に指定され「日本一の松」と称される遊龍の松です。



遊龍の松。真ん中に横たわってるのがそれっぽいがどういう状況か全く分からない



デカすぎてパノラマで撮ってもなお分からない。でも遊龍というネーミングは分かるド迫力



順路が設定されているので、遭難の心配はない



四季で携帯のロック画面を変えようと思って撮ったものの、ここ2年間これから変えられてない




この紅葉とこの背景が同じ写真に収まること、まあないですよね。標高300mの回遊式庭園は、紅葉の見頃も早めなので、訪れるなら今のうちです。是非。




というわけで、京都のオススメ穴場紅葉スポット8選、でした。学校の空きコマや全休の何もない午後など、せっかく京都にいるのなら運動がてら自転車でふらふらしてみると、紹介した寺社以外にもお気に入り紅葉スポットが見つかるかも知れません。京都に20年住んでる僕も未だに飽きないので、皆さんも少しばかり冒険してみては如何でしょうか。