WHOOP HOOPの話その5 トクダ | スムルース オフィシャルブログ Powered by Ameba

WHOOP HOOPの話その5 トクダ

2008年、ボクの大スランプを救ったのは
水島新司「ドカベン」がきっかけです。

家の本棚にあるドカベンを何気にとって読んでみたのですが、
その巻では、あのドカベン山田が大スランプになっているわけです。

ドカベンの甲子園打率は7割5分、
4回打席に立つと3回はヒットしている怪物くんなのですが、
さすがの水島新司先生ですね。

スランプになるエピソードもあるのです。

話し出すと熱があるぶん長くなりそうなのでカットしますが、
ライバルピッチャーとの対戦をきっかけに
怪物のドカベンとて、バットを振るタイミングがわからなくなってしまうんですね。

真面目な山田太郎くんは、悩んでしまいます。

練習をして取り戻そうとするのですが、
やってもやってもうまくいかない。

この時点で、ボクはその時の状況とリンクして、
相当感情移入してしまうのですが、
この後の展開です。

このマンガの中に葉っぱをくわえた大男「岩鬼」というキャラがいるのですが、
ドカベンのバットを縛って、「俺が良しというまで練習禁止」みたいなことを言います。

ドカベンは素直にそれを受け入れて、まったくバッティング練習をしないのです。

打ちたいのを我慢して、バットに触りもしない。

そして、打ちたい、打ちたいの気持ちが限界まで来たところで
岩鬼キャプテンから許しが出ます。

するとどうでしょう。

元の怪物山田太郎にもどっているんですね。

はい。

たったこれだけのことです。

みなさんも「はあ、それで?」と聞きたくなるような話でしょうが、
これだけです。

感情移入していたボクも、読んでいるのはあくまで何回も読んだマンガですし、
良かったねぇ、山田く~ん、
くらいにしか思わず、この話を読み終えます。

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(本文とは全く関係ないですが、野球の練習に励む少年時代の自分)


ところがですね、やっぱり何回読んでもドカベンは面白い。

ほとんど現実逃避ではあったのですが、
その流れで一気に全巻読んでしまったわけです。

ついでにワンピースなんかも読んでしまったり、
さらには、大好きな小説や映画なんかも観たり。

仕事放棄の罪悪感の中で、
それでもなんかもう止まらないわけです。

気がつけば1週間くらい何もしなかったんじゃないでしょうか。

どこかのタイミングでさすがにこりゃいかんと
ギターを持つのですが、スパーンと曲が出来ちゃうんですね。

「盾と盾」という曲なのですが、
この曲が出てきたときのボクは神がかっていました。

ロックの神様が降りてくる。

そんなことをよく耳にしますが、
ボクは「盾と盾」で初めてそれを体験します(それ以来起きていませんが…)。

無意識のうちにドカベンでのエピソードをリアルに再現していたわけで、
それに気付いた時は、


水島新司というマンガの神がロックの神様として降臨なさったんだな


という、自分勝手な解釈をいたしております。

ただし、神がかったものというのは、常人では理解できない領域のものと言えます。

日を改めて自分の詞を読んでいると、それこそ


7の月に恐怖の大王が降ってきてアンゴルモアの大魔王が蘇る


みたいな意味不明の予言書的歌詞になっておりまして、
これはイカン、とさっそく気付きます。

その後ヤマハの担当ディレクターと相談しながら苦労して苦労して5回くらい書きなおして
やっと出来たものがみなさんの手に届いている「盾と盾」になります。

書きなおしているのですが、この曲にはなんかあるんですね。不思議な力みたいなのが。

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(出だしの詞は最初からこのままです)


この曲の完成で「UNITE」は出来あがっていきます。

なんでもやりこみすぎはいけないんですね。

神経が細かくなってしまいすぎて、
自分にダメ出しが増えちゃうだけですね。

この「盾と盾」が元々自分が望んでいた出来かというとそれは違うとおもいます。

期間が空いたことで、神経がゆるくなったということだと思います。

現にあとから5回も書き直しておりますから。


そんなこんなで、このアルバムはとても大事な1枚に思います。

ところが、もうひとつ今の自分を作る大きな出会いがありました。

次回はそこから話したいと思います。


トクダ