NHKの朝ドラ、「スカーレット」観てますか?

 

今週は主人公 喜美子のお父さんが

亡くなるシーンがありました。

 

病床のお父さんが突然、

「喜美子!」と呼び止め

「頭にな、なんかついてるで」

と喜美子を手招きし

 

喜美子が不思議そうな顔をしながら

側に座ると

 

お父さんは、腕を伸ばして

喜美子の頭を触ります。

 

そのまま、数回喜美子の頭を

無言でゆっくりポンポン。

 

「今までありがとう。苦労かけたな。

よく頑張ってくれた。

お前は自慢の娘や。」

 

 

そんな声が聞こえてきそうな

頭ポンポンでした。

 

私は10年以上前に父を亡くしていますが

いまだにこういうシーンは

涙腺崩壊します。

 

 

 

 

(父は亥年)

 

父のことで思い出すのは…

 

父が入退院を繰り返してた頃。

 

 

私は仕事の休みをもらい、旦那さんにも

理解してもらい

2週間位実家に帰って、父や家の用事を

こなしていました。

 

父が家に戻っていた時

 

私は母に頼まれて

庭の草とりをしていたのですが

そこに父がやってきて

 

「今、牛乳 玄関に置いたから飲め」

 

と言いました。

 

 

「牛乳?」

 

 

 

 

 

その時は夏の暑い日だったけど

私はまだ喉が渇いてなかった。

 

で、暑い日に外で仕事してるときは

できたらお水や麦茶みたいな

さっぱりしたものがいい。

 

「え〜  牛乳…  あ、後で飲むから」

 

「いや、ちょっと休め」

 

「まだ疲れてないから、まだやるよ」

 

「いいからっ!  牛乳飲め」

 

私は、渋々玄関まで戻って牛乳を

飲みました。

 

 

父は横で満足そうな表情をうかべて

聞こえるか聞こえないか位の声で

 

「いつも悪いな、…ありがとう

 

と言ってくれました。

 

 

牛乳は父が大好きな飲み物。

 

 

お父さんの照れ臭い表情を見たのは

それが初めてだったなあ。

 

 

 

 

 

父は、まだ幼い時実母を亡くし

継母に育てられました。

 

 

子供の頃は地元で一番の高校に行ける位

頭が良かったそうです。

新聞記者になりたいという夢もありました。

 

でも、家の農作業が忙しく

夜間高校に行けと言われました。

 

継母の生んだ兄弟たちは

普通高校に行ったのに。

 

 

私はそのことを母から

聞きました。

 

夫婦喧嘩の度に

父の生い立ちについての

ネガティブな情報が積み重なりました。

 

 

それもあってか、私は父の個人的な

気持ちを考えたことはありませんでした。

 

 

 

 

 

 

自分と向き合っていく中で、

ある段階になると

 

自分の親の痛みに気が付く時がきます。

 

 

まずは自分の内側を癒すことから

始まります。

 

自分の中にある辛いストーリー、

分かってもらえない悲しさ

兄弟と比べられて感じた

愛されないという思い込み…

 

そんなものが

自らの中にある愛で溶けた頃、

 

「加害者」だと思っていた両親にも

 

自分と同じように

 

親から与えられた痛みが、

 

やはりあるのだと

 

頭の理解ではないところで

 

深くから実感します。

 

 

 

 

 

 

お父さんは子供の頃、お母さんを

亡くして悲しかっただろうな。

 

家族のため

進学も夢も諦めて

さぞかし辛かっただろうな。

 

弟達が昼間の高校に行った時は

どれだけ悔しかっただろう。

 

その悔しさをバネに

頑張って仕事をして

私達を育ててくれた。

 

 

 

今は、

父には感謝しかありません。

 

 

 

私に注いでくれた牛乳は

そんな父のせいいっぱいの

愛の表現。

 

 

 

お父さんは天国にいるけど

「今ここ」にいる私は

お父さんの思いを

しっかり受け取れるようになったよ。

 

 

 

ドラマを見てたら、そんなふうに

父に伝えたくなりました。