幸せになりたくて…。幸せって?

幸せになりたくて…。幸せって?

2025年のどん底から、祈りと現実で整えていく記録。

プロローグ:土(Earth)の星と、12万9600年の目覚め


​時とは、流れるものではなく刻まれる理(ことわり)である。




  • :十二支が巡る2時間は、12集まりて一日(24時間)となる。


  • 月・年:一日は30日集まりて一月となり、一月は12集まりて一年(360日)となる。

  • :一年が30年積み重なり、ひとつの時代**「一世」**となる。

  • :一世が12巡り、360年の**「一運」**となる。

  • :一運が30集まり、10,800年の**「一会」**となる。

  • 大元:そして12の会が満ちる時——**「一大元(129,600年)」**という巨大な宇宙の1サイクルが完成する。


​この12万9600年の大周期が満ちる時、星々に散った魂(原霊)たちは試練を受け、ひとつの源へと回収されるという。


​だが、そんな壮大な宇宙の理など、今の私には遠い絵空事のように思えた。


​……そう、目が覚めるまでは。


​「……兄貴、大丈夫? 麻酔から覚めたばかりなんだから、無理して喋らなくていいよ」


​白い天井、薬品の匂い、そして点滴の規則的な滴下音。


病室の硬いベッドの上で、**中・マイケル・ヒロ(一路)**は重い瞼を開けた。傍らでは、心配そうな顔をした弟がパイプ椅子に座っている。


​「……弟よ。俺たちは、大変な誤解の中で生きているのかもしれない」


​「は? また手術の麻酔の余韻で変なこと言い出したの?」


​ヒロは掠れた声で、ゆっくりと病室の窓の外——青く広がる空を見上げた。


​「なぜ人類は、この星のことを『Earth』と呼ぶと思う?」


​「え、英語で地球って意味でしょ? 学校で習うじゃん」


​「違うんだよ。旧約聖書でアダムは『土(アダマ)』から作られたとされる。そしてEarthのもうひとつの意味は『土・泥』だ。人類は自分たちを土の存在だと思い込まされ、この星にまで『Earth(土の星)』という仮のコードネームを貼り付けてしまった……。俺たちは、この星の『真の名前』を忘れてしまっているんだ」


​「兄貴……頭の麻酔、まだ完全に切れてないね」


​呆れ果てる弟の視線をよそに、ヒロは自分の手に視線を落とした。


手術中の意識が遠のく暗闇の中で、ヒロは確かに体感していたのだ。自分の意識が肉体を離れ、遥かなる時空の波を飛び越えていく感触——『時の旅人』としての目覚めを。


​(あの感覚は何だったんだ……? 過去の時代……いや、この星ではないどこか別の『大元』の記憶……?)


​ヒロの頭の中に、まだ断片的な映像が眩しく点滅する。


雲を突き抜ける巨大な光の船の影、穏やかな微笑みをたたえた「誰か」の面影、そして太古の地球で空を飛んでいた人々の姿……。


​まだ全ての記憶が繋がったわけではない。


だが、確かな手応えが手のひらに残っていた。


​ヒロがすっと右手を差し出すと、テーブルの上に置かれていた未開封の缶ジュースが、カタカタと小さく震え始める。


​「うおっ!? え、今、缶動いた……!?」


​目を丸くする弟をよそに、ヒロの魂の奥底から、理屈を超えた熱い波動が爆発的に湧き上がってきた。


​「……キた。見つけてやるぞ、この星の『真の名前』を……! ファオッ(POW)!!


​病室のベッドの上でキレキレのポーズを決めるヒロ。


12万9600年の時を超え、奪われた真実を取り戻すための「時の旅」が、いま静かに始まりを告げたのだった。