福岡一のビッグパーティー…これは福岡でパーティーを生業にしている男女ならば避けては通れない、一番メジャーなパーティーである。若い男女が多く、主催者も若いおじさん(?)なのであるが、これまたうさんくさい男なのである。動物ならばカピバラにそっくりなオシャレな方である。

僕が始めて参加したときは(たまたまネットでみかけて)、あまりの人の多さに会場で迷子になったのを覚えている。そしてなかなかかわいい女子がいるのである。そしてハンサムな男子も意外といる。僕は外見では勝負できないので(謙遜??)、トークが唯一の武器となる。僕の方向性は、たたみかけるテンション・ギャグにのせていく、というものである。全年齢に有効との戦況報告があるが、極度におとなしい女子(会自体にはあまり興味はなかったが友人に連れてこられた子)には弱い感がある。テンションの波に乗って来れないためと考えられる。その際にはキーをさげてしっとり波長をチューニングしていくわけだが、短い制限時間では失敗に終わることが多い。僕は一気にテンションをあげるのは得意だが、下げていくのは下手なのである。その点が今後の改善点と言える。これは仕事でも同じことで、さまざまな患者さんがおられるわけだから、その人その人に合わせた態度、テンションが求められる。同じ手術の説明をする際でも、かなり詳細に説明をしなければならない方もいる。反対にある程度で留めて簡潔に済ます方もいる。後でトラブりやすい患者云々という点も考慮にいれるが、僕に対する信頼感・手術に臨む考え方を推察したうえで、それに合わせてこちらも取り組んでいかねばならない。行う治療は全力で取り組む。これはいかなる患者さんにも等しいわけだが、それに対する捉え方は各人でチューニングしていく必要がある。

話を戻すが、そういうわけでこの会がもっとも僕が好んでいるものである。いい子が集まれば、連鎖的にいい子がついてくる。まさにポジティブスパイラルの典型とも言える。僕の戦略は、その会場で一番(と僕が考える)女子をターゲットとし、そこに全精力をもっていく手法である。よって2時間以上の会でも、1時間半以上は一人でじっとその機会を待つ。与えられた少ない時間で最高のパフォーマンスを発揮するには、それだけの前準備が必要である。相手の雰囲気、テンション、友人との関係(話の中で中心にいるのか、サイドで聞き手にまわっている役回りなのか、その会を楽しんでいるのか、まだ馴染めていないのか、等々)を見極め、最も適したテンションにチューニングしておく。相手のテンションより少し上げて会話をリードしていく程度が最適と考えている。かけ離れたテンションだと、相手がひいてしまう可能性が高いからだ。女子にリードされるのも、信頼が得られにくい点で好ましくない。やや古いギャグやネタを織り交ぜるかの判断は非常に難しい。年齢に関わらず好む女子とそうでない女子がいるため、見極めが難しいコには最近の話題のみで構成するほうが無難といえる。そういうわけで、僕が会で話す女子はたいてい一~二人となる。学生の頃はあたりかまわずナンパしたりだったが、さすがに今となってはトルクに欠ける。その分を作戦と集中力でカバーしている。成功率は50%といったところではなかろうか。そのような女子は当然競争相手も多いため、たいてい初参加で男子が群がり、そこでナンバー1の男子と結ばれ、二度目来店はほとんどない。まさしく一発勝負である。自分のコンディション作りもさることながら、うまく話しかけるタイミングを得る強引さも重要となる。

種の保存という大摂理に従う男子は大変なのである。

マリオ的主催者なパーティー…福岡にはいくつか大きなパーティーがあるが、もっとも有名なパーティーがこれである。主催者がスーパーマリオそっくりなのであるが、会話もなかなか軽快でよろしい。うさんくさい仕草、着こなしも好感がもてる。このパーティーには、研修医時代にとてもお世話になった。ドクターパーティー(男子が医者。それ目当ての女子が集まり、その分女子の会費がやや高いパーティー)によばれて行ったのが初めてで、以後一般のパーティーにも足しげく参加させてもらった。ここでもいろいろな女子がいたが、女子の参加平均年齢が30代で、ヤング狙いな僕にはちときつい。時折ヤングが来るやいなや、飴に群がる蟻の勢い!男子は必死なのである。かと言ってレベルは皆さん偏差値50をきってしまいかねないため、入信2年目にようやく卒業した。

メール会員になると、週に数回は送られてくる。誘いメールには20代〇名!芸能人誰似!!なんて思わず喰いつく誘い水なのであるが、正しかった試しはない。いままで正しかったのは、該当する年齢の女子がいたくらいである。たいていは1010くらいのこじんまりした、わりあい自由な着席形式で、20分程度で席交換というものである。シーズン毎にビッグパーティーがあるが、これも老女をたくさん集めた構成で、僕は終了まで2時間フルに立ち回れたことはない。途中でホームシックを発病してしまうのである。

ここのパーティーでは、男女ともに常連がかなり多い感がある。あるいは何年ぶりに参加の老女、というのもよく聞く。しかし年に何組かは結婚している、との話を聞いたこともあり、本来の趣旨もしっかり貫徹できている健全な会なのではないかと思う。「婚活」が話題な昨今、男子はもとより、生き残ってしまった女子も必死なのである。

お見合いパーティー…僕はお見合いパーティーの経験は少なく、メジャーなものであれば〇クシオくらいである。オグシオではない。これは将棋の対局に使う程度のタコ部屋に、男女系50名ほどが詰め込まれ、数分の着席トークを繰り返すという、「精神と時の部屋」並みの修行の場なのである。男性のステイタス(職業・年収)が上がっていくと人気もあがっていく。プレミア感のないものであれば男性4000円、女性500円(ひどいとタダ!)、プレミアなもので、女性も同額に近くなる…という値段設定である。しかしながらステイタスの指標は非常に曖昧で、役職は名刺の確認のみであるからして、偽りない男なのかは甚だ疑問である。そもそもお互いえげつない下心で集合しているので、それを指摘できる資格のある人間は会場内にいない。そういう意味で対等である。

システムは純粋ねるとん系で、中間報告で好きな子に手紙を送ってみたり、最後に第15希望まで異性を投票したり、ゲーム的要素に富んでいる。それをもとにしてマッチングさせ、カップルが成立するわけである。第5希望まで投票できるところがすかんたらしい、と毎回思いながらも滑り止めまでしっかり記入する弱さが愛しい。

そこにくる男女はかなり生き急いでいるため、カップリングが成立するや夜の街に消えていき、結合すること矢の如し。一般の合コンやパーティーとは違い、キーパーのいないPKである。僕も数回成立したが、逆に警戒してしまってシュートが恐くなるほどである。レベルは男女ともあまりよろしくないレベルであり、繰り広げられる会話もハエが止まる勢いである。

ここで一つ注意したいのが、ここにはサクラが高い率で紛れている点である。紅一点の美女子はほぼサクラと思って間違いない。たいていは今にも帰りたい空気満々。僕の長年の研究によると、この美女子がカップリングする率は首相の支持率より低く、預金金利と等しい。あまりにわかりやすいサクラである。男子はサクラとわかりながら一生懸命にトークし、最後の希望(望みナシ)をかけて第1希望に書き込む。これが種の起源という本能なのである。そしてこんなはずじゃなかったと、第5希望の(希望でない)魔物の巣へ突進していくわけである。