マウリツィオ・ポリーニさん死去 世界最高峰の伊ピアニスト、82歳

イタリアのピアニスト、マウリツィオ・ポリーニさん=2010年10月、東京都内(AFP時事)

イタリアのピアニスト、マウリツィオ・ポリーニさん=2010年10月、東京都内(AFP時事)

 

 

 1942年、ミラノ生まれ。父は著名な建築家。5歳でピアノを始め、名門ジュゼッペ・ベルディ音楽院を卒業した。60年に18歳で出場したショパン国際ピアノコンクールで圧倒的なテクニックを披露し、満場一致で優勝。審査委員長の巨匠アルトゥール・ルービンシュタインから「技術的には審査員の誰よりもうまい」と激賞された。

 

 その後、演奏活動から一時離れたが、68年に再開。アルバム「ショパン 練習曲集」(72年)は、完璧な技巧に裏打ちされた鮮やかな演奏で絶賛され、名声を不動のものにした。

 

 生涯を通じ、知的で研ぎ澄まされた響きを紡ぎ出した。ショパン、シューマンらロマン派のほか、バッハ、モーツァルトから現代音楽まで、幅広く手掛けた。中でもベートーベンの作品は、クラウディオ・アバド、カール・ベームら名高い指揮者とピアノ協奏曲を協演したほか、40年近い歳月をかけてピアノ・ソナタ全集を完成させるなど、ライフワークとなった。

 

 2002年、「ポリーニ・プロジェクト」と銘打ち、古典作品と現代音楽を組み合わせたユニークな演奏会を東京で全9回にわたって開き、大きな反響を呼んだ。10年に高松宮殿下記念世界文化賞を受賞した。