変質するユネスコ、「南京事件登録」の大問題
ボコヴァ氏は、なぜ"中国寄り"なのか
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ロンドンでユネスコ憲章が採択されたのが1945年11月16日。ユネスコは今年、創設70周年を迎える。
そのユネスコが激震に見舞われている。原因はユネスコが10月9日(日本時間10月10日未明)、中国が申請した「南京事件」に関する資料を記憶遺産に登録したことだ。
記憶遺産とは「文書遺産の保護やアクセスの確保等を目的とし、世界的重要性等の基準を満たした文書類を登録するユネスコの事業」を指す。世界遺産と異なり、条約に基づくものではない。

記憶遺産は非政治的な制度なのに
申請は2年に1度、偶数年に行われる。申請するのは個人でも団体でも、政府あるいは国際機関でも可能だ。その内容はユネスコ事務局でチェックされ、1国から3件以上の申請がある場合、2件までに絞り込むよう要請される。そしてユネスコ内で検討された後、その翌年に国際諮問委員会(IAC)で審議され、ユネスコ事務局長に勧告される。事務局長はこれを拒否せず、そのまま登録することが慣習となっている。ユネスコ加盟国内容に干渉することはできないとされる。
このように記憶遺産本来、純粋に文化的・歴史的な内容を後世に残すことを目的とした非政治的な制度だ。
問題は昨年6月、中国側が「南京事件」と「慰安婦問題」に関する資料を記憶遺産に登録申請したことから始まった。

これについて日本は、中国に対して強く抗議し、申請撤回を申し入れた。またユネスコ関係者に対しても、ユネスコが政治利用される懸念があること、及び我が国の立場を説明し、慎重に審査するように申し入れている
中国はこれを拒否し、資料の公開も断った。しかし「南京事件」はその犠牲者の数について正確に確定されているわけではない。中国側は「日本軍によって20万人以上の中国人が虐殺され、2万人以上の中国人女性が強姦あるいは集団強姦された」とした極東軍事裁判や、「少なくとも30万人は虐殺された」とする南京軍事法廷を引用したが、これについては当時の南京市の人口規模などから、疑問視する学者は少なくない。「慰安婦問題」に関しても、強制性や待遇、その人数についての中国その他の国の主張は大きな疑問がある。

「慰安婦問題」の登録は見送り
さすがに「慰安婦問題」の登録は「資料の内容に露骨な問題がある」(ユネスコ関係者)として見送られたが、「南京事件」は登録されてしまった。外務省は10月10日、「中国の一方的な主張に基づき申請されたものであり、当該文書完全性真正性問題があることは明らか」「中立・公平であるべき国際機関として問題であり、極めて遺憾」「ユネスコの事業が政治利用されることがないよう、制度改革を求めていく」との報道官談話を発表した。
菅義偉官房長官も13日午前の会見で、「資料が本物なのか専門家の検証を受けていない」「政治的に利用されることのないように、制度の透明化を求めたい」「ユネスコへの分担金支払い停止も含めて、あらゆる可能性のある手段を講じたい」と抗議の意を表している。
与党自民党も14日朝、「外交部会・文部科学部会・外交・経済連携本部・国際情報検討委員会・日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会合同委員会」を開催し、「中国が申請した『南京事件』資料のユネスコ記憶遺産登録に関する決議」を採択。翌15日午後に官邸で安倍晋三首相に決議文を手渡している。
実際に、組織改革は喫緊の課題だ。イリナ・ボコヴァ事務局長指名したIACのメンバーは「専門家」という触れ込みとは異なり、アジアの近現代史の専門家は見当たらない。またボコヴァ氏と同じブルガリア出身者も含まれており、建て前ではIACは他からの干渉を受けないといことになっているが、その意思を反映した疑いがあるのだ。
そもそもユネスコはアマドゥ・マハタール・ムボウ事務局長時代に政治的偏向縁故人事がはびこった上、放漫財政に陥ったことがあり、アメリカとイギリスが脱退している。この時、予算の4分の1を負担してユネスコを支えたのが日本だった。そんなユネスコをたてなおし、2003年にアメリカを復帰させたのも、日本の元外務官僚の松浦晃一郎前事務局長である。
しかし松浦氏の後任として女性初のユネスコ事務局長に就任したボコヴァ氏には、別の思惑があるようだ。

2014年12月1日付けのAPは、ボコヴァ氏は「もう女性の国連事務総長が出てもいい頃だ」と“目を輝かせながら述べた”と報道。この言葉は「事実上の出馬表明」として受け取られている。
実際にボコヴァ氏の母国であるブルガリア政府は、2016年12月で任期が終了する潘基文事務総長の後継としてボコヴァ氏を推すことにしている。デ・クエヤル氏(南米)、ブトロス・ガリ氏(アフリカ)、コフィー・アナン氏(アフリカ)、潘基文氏(アジア)と非欧米系の事務総長が続いたことは、ブルガリア出身のボコヴァ氏にとって有利になっている。
またEquality NowというNGO組織は2015年4月から「女性の事務総長誕生キャンペーン」を展開。ヘレン・クラーク元ニュージーランド首相やダリア・グリバウスカイテ・リトアニア大統領などと並んで、ボコヴァ氏を候補に挙げている。

常任理事国の支持なくして事務総長になれない
そのような野心を持つボコヴァ氏にとって、最も気になるのは中国の意向に違いない。安保理事会の常任理事国の反対があっては、事務総長にはなれないからだ。
ボコヴァ氏は9月3日に北京を訪れ、抗日戦争勝利記念式典に参加したのは、中国にさらに接近するためと見られている。ボコヴァ氏はこの時、習近平主席夫人とも親しく会談した。
さらに「慰安婦問題」が今回の記憶遺産登録から漏れた後、ユネスコから中国に対して関係国と協力申請するように勧告があったことが判明。ユネスコは公式にはこれを否定しているものの、中国は正式にこれを認めている。つまり、ユネスコが記憶遺産登録に向け、前向きに動いているのだ。

こうした“将来の国連事務総長”に対し、積極的にアクセスしているのが韓国だ。たとえばボコヴァ氏は2014年2月2日から4日まで、ユネスコ韓国委員会設立60周年記念行事に出席するために訪韓した。
そこで面会したのが、1月27日にパリで会ったばかりのチョ・ユンソン女性家族部長官だ。チョ氏はボコヴァ氏に「アンネ・フランクの日記は記憶遺産に登録されている。慰安部の被害記録も同じだ」と重ねて迫っている。
そうした“おかげ”か、韓国ユネスコの要職に自国民を押し込むことに成功している。2012年4月、ボコヴァ氏はチェ・スヒャン氏をユネスコの主要部局である平和持続可能発展教育局長に任命。一方で現在の主要幹部ポストに日本人が皆無という状態だ。
そもそも日本とユネスコの関係は深い。2011年にパレスチナが加盟したことでアメリカが分担金(22%)を拒否している現在、10%を負担する日本はユネスコにとって最大の資金源だ。

日本におけるユネスコの歴史は長く深い
もっとも世界第2位の経済大国である中国が、もし日本が分担金の負担を見直す場合、これにとって代わるという話もある。
だが日本にとって、ユネスコ加盟は1951年で、国連に加盟するよりも古い。ユネスコ憲章の精神に共鳴する民間団体であるユネスコ協会が始まったのは日本が最初で、1947年のことだ。すなわち日本にとってユネスコは戦後の国際社会に歩み出した記念すべき第一歩であり、かつユネスコの精神を最も理解してきたのが日本ということになる。この歴史は奪いようがない。
ユネスコ創設70周年に当たる今年、もしこの関係が変わってしまうのなら、日本ばかりではなく世界にとって、大きな損失になるにちがいない。
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分担金は停止でいいと思います。
こんないい加減な組織にお金を出す必要はないでしょう。