「笑いませんよ

 笑うはずがないじゃないですか


 私も貴方を求めているのですから」


彼の顔を真っ直ぐに見つめて、私は言葉を並べた。

冗談など言わない。笑いもしない。


今の私が出来るのは、彼の想いに真剣に応えることだけ。


すると先生は、ホッとした顔をして、

しかしすぐに神妙な顔つきに戻って続けた。


「…勿論、人間だから、君の想いも変わることがあるかもしれない

 もし、想いが変わったら…この約束は反故にしてくれれば良いから」



反故にする。

そんな言葉が出るということは、彼はまだ

私のことを信用しきっていないのだろう。


無理もない。

想いを交わしたのはついこの前。

お互いの想いを確かめ合ったのは、ついこの前なのだ。


先生が不安になるのも分かる。



だけど、私も巫山戯た気持ちで彼に惹かれたのではない。

生半可な気持ちで、彼のことを思っているのではない。


そこを信用しきれないのは分かるが、信用しきって欲しかった。


ただ、人のことは言えない。


私も結局は、先生のことを信用しきれないのだ。

先生が、先生である限り、先生はたくさんの女生徒と出逢う。

また私と同じような子が出てくるかもしれない。

先生が惹かれて、生徒の子も先生に近付いて…


女生徒だけでない。

先生の周りの女性に関して、私には何の情報もない。


どうなるかなんて分からない。曖昧模糊としている。

それが私たちの関係。