「先生…痛い…」
そう言うと、少し抱き締める力が弱まった。
背中に回されていた右手が、私の左頬を撫でる。
「愛…してる…」
二人とも、分かっていたんだ。
この恋は、この愛は、成就すべくもないものだと
そういうことを。
全て承知していた上で、
お互いに想いを伝えあったのだ。
視線が合う。
嫌悪感など感じない。
少し恥ずかしさはあったが、
あまりにも彼の人の眼が真剣だから、逸らせない。
「眼を、閉じて…?」
言われたとおりにしても
じっと見られているのが分かった。
躊躇っているのか、
いやそうではないだろう。
私を、眼に、その両目に
焼きつけようとしているのだろうか。
これが最後だと、分かっているから。
少しして、
彼の人の唇が触れるのが分かった。