屋上に上るのは、今年の体育祭以来だった。


体育祭のことについて書く予定の、生徒会新聞に

掲載する用の写真を上から撮るために上ったのだった。



懐かしい想いに不図囚われて、

遠い眼をしていたのだろうか…


彼の人は私の横で、

「何を考えているの」囁くように言った。


それには答えず、


柵に捕まりながら、グラウンドで行われている

ソフト部やサッカー部の活動を見ながら、


「部活、行かんくていいんですか?」


と聞くと、


「さっき、行ってきたよ

 今日はもう解散してきたんだよ


 熱心だね、彼女らは

 君が作ってきたチームを残そうと

 一生懸命練習しているよ」


少し後ろに立っていた神坂先生は

優しげな笑みを浮かべて、そう言った。



柔らかい、冷たくない風が頬を撫ぜる。



「もう、春だな」


「はい」


私はゆっくりと柵から離れ、

神坂先生の方へ歩を進めた。



「こういうことを言うと、迷惑かもしれないけれど

 先生に、お伝えしておきたいことがあるんです」


ひとつひとつ言葉を選びながら、話す。

そうしないと、止まらなくなりそうで怖かったから。



「うん」


目を細めて、優しげな顔をして微笑む彼の人は、


私がまだ何も言わないうちから、

すべてを承知しているように思えた。