私は、自分が流している涙が
どのような意味を持つのか分からなかった。
翔野が自分から離れて行くとは、
全く思っていなかったという気持ちが心の中にあり、
それで彼に裏切られたような気がした故の涙なのか。
それとも、私は、自分で思っていたよりもずっと
翔野のことを想っているが故の涙なのか。
自分は翔野とこれからどうしていきたいのだろう。
ずっと一緒にいたいのか。
一緒にいることで、また翔野を苦しめるのか。
それでも一緒にいたいと思うのか。
逆に翔野は私とこれからどうしていきたいのだろうか。
もう関わりを持ちたくないのか。
それともこれが翔野の最後の賭なのか。
もう私のことを何とも想っていないのだろうか。
いや、想っているが故にこんなことを言うのか。
時間にしたらかなり短い間だったのだと思う。
それでも一気にこれだけのことを考えられる
人間の頭と言うのは面白い。
「それは、どういう意味なの?」
やっとのことで私がしぼり出した言葉は、それだった。
「だから一旦距離を置くって…」
「翔野の意味する‘距離を置く’って、何」
感情的になっているのだろうか。
でも頭は哀しいくらい冷静だった。
「翔野の意味する‘距離を置く’っていうのは、
もう私と完璧に別れるということなの?
それとももし然るべき時期があるのなら
その時期にまた縁りを戻すということなの?
私は貴方が中途半端なことを言う人だとは思わない
きっと毎日のように考えて、その上で言ってるんでしょう
だからこそ聞きたい。
貴方は…どれだけの覚悟を持っているの」