「聞いてほしくなかったら…
最初からこんなに喋ってませんよ」
結木はくすくすと、さも可笑しそうに笑いながら言った。
「だってさ…聞いている限り、
君がその過去を大切にしているのが
ひしひしと伝わってくるんだ
おれは別に君の特別な人でも何でもない
ただの‘先輩’だ
それなのにおれがその過去を聞いても
いいのかなって思ったんだ…」
小暮は反対に、さも申し訳なさそうに言う。
それを見て、結木はしっかりと小暮の眼を捕えて
穏やかに言った。
「私…今日が初めてだったんです
このこと…先生とのことを話してもいいかな…
って思える人に逢えたのが
それが先輩だったんですよ」
小暮は少し驚いたような顔をした。
しかしすぐにその頬には赤みがさしてきた。
「一生、誰にも話すつもりなんて、なかった
今こうやって話せてることに、
自分が驚いているくらいですもん
逆に、先輩の迷惑になってるんじゃないかって
心配するくらいですよ」
「迷惑なんかじゃないよ
そう言ってくれて、嬉しい…
良ければ…最後まで聞かせてくれないか」
その時丁度、スープとサラダが運ばれてきたので、
二人はそれを食べながら、先程の雰囲気に戻っていった。