そのレストランは
こじんまりとしているところだったが、
雰囲気はとても良かった。
店内の照明も明るすぎず、
オレンジ色の光が優しい雰囲気を醸し出している。
どこか外国の音楽だろうか、
英語で歌われた柔らかな曲が流れている。
値段も、学生には高すぎないもので、
もし大学の近くにあったら毎日でも行きたいくらいな
料理店だった。
二人は日が沈んでいく海のよく見える席について
「シェフのおすすめメニュー」を頼んだ。
「明日は、午前から授業?」
小暮が水に手を伸ばしながら聞く。
「ええ、でも2限目からです、先輩は?」
結木も水の入ったガラスのコップに手を伸ばした。
「おれは、明日は卒論演習だけだ
同じ、2限目からだよ
じゃあ、今日は少し遅くなっても大丈夫かな?
あ、変な意味でなくてね」
小暮は少し焦りながら付け加えた。
「ふふっ、先輩って面白いですね
大丈夫ですよ、私もここまで話したら
すべて話してしまいたいって思うので…」
結木はそんな小暮の姿を見て笑った。
そんな結木を見て、小暮は微笑んだ。
でもすぐに真顔になって、言葉を漏らした。
「おれは君の話を聞くに足りる人間なのかな?」