あの時の私は、正直今までで一番
自分を見失っていた。
それほど私は、悔しかったのだ。
「でも…でも…伸びなかった…!
こんなのじゃ駄目だ…
油断なんてしたつもりもないのに…
努力なんて、報われな「そんなことない」
鋭い声が、私を止めた。
「あのな…君はこのまま…
過去の自分を裏切るつもりか?
君が今ここで投げやりになってしまったら、
君は‘君’を裏切ることになる
君は今まで努力してきたんだろう?
だからそういうふうに悔しいと思えるんだ
自分で‘自分は努力してきた’と思えるほど、
君は努力してきたわけだ
君は誇張を好む人ではないだろう
だから、君が努力してきたというのは、
君自身が証明していることになると思うがな」
少しずつ、神坂先生は窓辺に近寄って来た。
私は窓辺から遠ざかることはせず、
彼の人をじっと眺めていた。
「次のテストで、満点を狙えばいい
このテストですべてが決まるわけではないんだから
あまりにも完璧すぎると、つまらないだろう?
一度、後退したって、また前進すればいい
まぁ、こうやって、熱い榛名さんを見れて
おれはラッキーだったけどな」
神坂先生は、
本当に自然に私の頭を撫でながら、
笑った。
こころが穏やかになった。
頭を撫でられると、とても安心した。
何だかんだ言っても、
冷静で落ち着いた生徒に見えてても、
結局私は中学生だったのだなぁと
今、思い知らされる。
「ありがとうございます…
また頑張ってみます」
私も、笑った。
涙で濡れた頬のまま。