今から考えれば、この時の私に言ってあげたいのは

そんなに心配しなくていいということだ。


少々上がらなかったといったって、

努力してきた自分をもっと信じていいんだよと


伝えてあげたい。


どうせ、次のテストで、巻き返しができるのだから。



だけど、その時の私には

そんなことを考える余裕などなくて。



そのテストが終わった日の放課後、

私は翔野とも聡子とも帰らなかった。


一人、図書室に残ってた。


図書室の窓から、みんなが帰るのを見ていた。

全員が帰ったら私も帰ろうと思ってたから。


神坂先生はいつも通り、生徒を見送っていた。

今日は3年団の何人かの先生も門のところに出てきていた。



30分くらいして、もう生徒もほとんどいなくなり

先生方も引き返し始めた。


神坂先生も、職員室へ戻る姿が見えた。



「そろそろ…いいか…」


目に涙が溜まってるのが分かった。

少し触れられたら、零れるだろうというくらい。


限界だった。


と、その時、図書室の後ろのドアがガラッと開いた。

驚いて後ろをふり向くと、そこに立っていたのは


神坂先生だった。



「診断、どうだったの?」


神坂先生の笑みは、いつもと何ら変わりがなかった。



涙が、零れた。