冬休みに入る前に、三者懇談があった。
ここで、2学期の成績表をもらい、
冬休み明けに受ける私立高校を決める。
私は一応3校受けることにしていた。
S高とO高とE高である。
というのも、中野先輩が、その3校を受け、
すべて奨学金をもらえるという快挙を達成していたからだ。
取り敢えず、狙っていた公立のT高が駄目だったら、
こちらもかなりの進学校であるS高に行くことになるかなぁ
とは考えていた。
O高やE高についても、
特別進学クラスを受けることには受けるのだったが、
レベルは正直知れていたからだ。
まぁ、自分の頭の中にはT高しかなかったから、
他に浮気する気はなかったが。
その日は12月の半ばで、かなり寒い日だった。
母さんは、丁度その日、小6の弟の懇談もあったため、
そちらに行ってから中学に来る予定だった。
懇談会のため、学校は午前9時には終了していた。
何のために出て行ったのか分からないくらい早かった。
そのあとしばらく図書室で自習していたのだが、
昼前に一度家に戻り、昼ご飯を食べて塾に籠っていた。
懇談の時間の30分前の16時半には中学の方に着いて
「さむいんだよぉ…」
とか言いながら階段を上っていた、
その時だった。
ふっと人の気配を感じて、顔を上げたその時
私の眼に入ってきたのは…
黒い、コートだった。