「避けると決めたのなら、

 徹底的に避けるべきだったんです

 

 あの人のことを」


結木の眼にはうっすらと光るものがあった。



「それは君が今、

 後悔しているって、そういうこと?」


小暮が優しく聞く。



「後悔…」


その言葉を、一文字ずつ確かめるように、

結木はゆっくりと口にした。



「いいえ…

 神坂先生と関わったこと…出会えたことは

 後悔はしていません…


 あの人は私に色々なことを教えてくれた…

 あの人が‘良い人’だったのは本当で…」


「でも…‘避けるべき’だったって思っているのなら

 それは後悔してるってことじゃないの?」



結木は黙り込んだ。


しかしその沈黙は、小暮の畳み掛けるような言い方に

反応したのではなく、


じっくりと何かを考えているように見えた。



「私は…


 神坂先生との出会いや、

 関わりについて後悔はしていません…


 ただ…私が後悔しているのは…


 あの時の私の中途半端な態度です」


最後、結木はきっぱりと言い切った。



「神坂先生が好きだと気付いた時点で、

 翔野とは別れるべきだったんだろうし、


 神坂先生を徹底的に避ければ良かったんです」