「いいですよ
明日は塾も丁度休みですから」
偶然、次の日は塾は休みだった。
全員が出ると言っているのであれば、聡子も出るのだろう。
久々にソフトをしたいしなぁと思う気持ちもあったので、
私は出ることにした。
人間とは勝手なものだ。
簡単に矛盾したことを思う。
神坂先生に自分のことを気にしないでほしい
と思いつつも、
どうせなら私が卒業するまでは思っていてほしい
と思う気持ちもある。
神坂先生が中野先輩と私の仲を聞いてきたら、
恋愛関係とかそんなんじゃないと言い張るつもりだったのに。
何か肩すかしをくらった感じがした。
「ありがとう、みんなも喜ぶよ」
神坂先生は心から喜んでくれているようで。
それが一層私を歯痒くさせた。
「いえいえ、丁度ソフトが恋しい時期でしたし」
からかいの口調で返す。
まぁその通りなのだから、いいだろう。
しかしその時、神坂先生はこう言ったのだ。
とても真剣な口調で、電話越しでも彼の顔が
浮かぶような気がした。
「ソフトが…恋しいか…
おれではなくて?」
「え?」
私は一瞬反応が出来なかった。
そしてそのまま言葉を発せられなかった。
「ふふ、冗談だよ」
先生の口調は、いつものそれに戻っていた。
「遅くに悪かったな
じゃあ明日、9時からだから
まぁ遅れてくるのは全然構わないし
じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
電話を切った時、私は自分の心臓の音が
いつもよりも高く響いているのを認めた。
それでも私は、認めなかった。
‘これは恋なんかじゃない’と。