「君と神坂先生は、本当に…縁があったんだね」
小暮が、とても優しい眼をして海を見つめながら言う。
「羨ましいな…」
それ以上は何も言わない。
小暮の様子が、少し変わったような気がした。
「先輩…?」
「本当に、羨ましい…
神坂先生と言う人は、4年…かな?
それだけ経った今も、君のこころの中にいるんだからね」
小暮は結木の方を向かないまま、喋った。
「ひとは…そんなにも、ひとのこころに
残り続けることができるものなのか…
神坂先生は今、君の傍にはいないのに、
君のこころの中にはまだ
神坂先生がいるんだろう…?
どうして君のこころの中にいるのが、
おれじゃないんだろう…」
小暮の声は、震えていた。
しかし芯の通った声だった。