「先生…」


神妙な顔をして、私の眼の前に座っているその人に、

私は初めて私から声をかけた。



「どうして先生が、

 私のことをそんなにも想ってくれているのか、

 私は知りません…


 でも、その想いは有難いです

 やっぱり、人に想ってもらえるのは

 嬉しいことですから


 でも、私は翔野が大切なんです

 翔野を傷付けたくはないんです」



神坂先生は、眼を伏せたまま、

何も喋ろうとはしない。



「でも…私が先生のことを

 恋愛対象として見ることは…


 きっと、ないと思います…


 だから…先生も、私のことを…

 ひとりの生徒として見て下さい…」



それでも先生は黙ったままだった。



「では…班長会に行かなければならないので

 失礼します…」



私は先生を一人ソファに残して、

足早にそこを立ち去った。