「君は、さ、
おれのこと、嫌いか?」
神坂先生は、溜息をつきながら、言った。
もしかしたら、生徒にこんな質問をする先生だって
いるかもしれない。
でもそれは、「先生」として好きか嫌いかを
聞いている質問になるのだろう、普通であれば。
神坂先生の質問は、そうではなかった。
先生も、この質問をするのには、とても覚悟がいったろう、
何せ、自分のことを、「一人の人間」として好きか嫌いか
聞いているのだから。
「どうして…そんな質問をするんです?」
私は敢えて、はぐらかそうと思った。
「好き」なんてことは絶対に有り得ないと思っていたし、
「嫌い」ということも正直その時は有り得なかった。
どっちでもないのに、応えられるはずがないし、
どっちを答えても先生の望む答えではないような気がした。
「…大月とは、仲良くやってるようだな」
少しの沈黙のあと、神坂先生は徐に言った。