「その写真は…今、持っているの?」


小暮が聞いた。

結木はこっくりと頷いた。



「見せてほしいな

 神坂先生がどんな人だったのか、見てみたい」


小暮の言葉に、

結木は横に置いてあった鞄を手に取り、

中をから手帳を取り出した。



「それに、はさんであるんだね」


手帳の最後のページには

写真をはさめるようにクリアファイルが付いていた


結木はそこから1枚の写真を取り出し、

それを少し見つめたあと、


小暮の方に差し出した。



「どっちが…神坂先生?」


小暮は写真を受け取りながら聞いた。

確かに結木の話の通り、3人がそこには写っている。



「こっちの人かな?」


結木が教えるよりも早く、小暮は、

中三の頃の結木の向かって右隣にいる人を指差した。


結木が、驚いたような顔をして、それでも頷く。



「やっぱりな、こっちの人の方が若いしね


小暮は笑いながら言った。


「確かに格好良いなぁ、爽やかそうだし


 でもその時おれがそこにいたら、

 きっとこの人のことを好きにはなれなかったろうな

 大月君とやらと同じように、ね」


写真を見つめながら、真面目な顔をして小暮は言った。

まるで独り言のように。



「でも、男子にも好かれてたと思いますよ

 先生、さばさばしてたから」


結木が少し反論する。

それを聞いて小暮はまた笑った。



「言ったろう?‘大月君のように’ってさ


 もしおれがその時、君の傍にいたなら、

 おれもきっと、神坂先生に、嫉妬しただろうな


 君は…神坂先生に、どんどん魅かれていったんだろう?」



「……」


結木は何も言わなかった。



「修学旅行で、何があったの?」