その日、丁度お風呂から上がった21時班半頃
翔野から携帯の方にメールが入った。
『今、電話してもいい?』
『うん、いいよ。塾、お疲れ☆』
それから1分後くらいに、電話がかかってきた。
「はい」
すぐにボタンを押す。
「結木?」
翔野の声。まだ声変わりをしていない、柔らかめの声。
「うん、そうだよ。塾お疲れ様!」
「今日、何で休んだの?」
少し、咎めるような口調なんだが、まぁ仕方がない。
「うちの部、昨日の部活対抗リレーで優勝したでしょ?
あのご褒美に、焼肉行ってたんよ
塾の課題は朝のうちにこなしてあるし、
塾長にも許可とってるよ
翔野に伝えてなかったね、ごめん」
一気に全部話すことになった。
私にしては饒舌だ。
そんな自分に私は心の中で苦笑した。
「そうなんかーそりゃええな
サッカーは2位やったけんなー
野球は流石に強かった」
「だって野球部は1位とらんかったらベイラン60周だよ
賀川先生てばSだから
そりゃ野球部も必死になるよ」
私は笑いながら言った。
翔野も、電話の向こうで笑っていた。
「そーか
まぁ、何かあったんじゃなくてよかった
また明日学校でな
放課後、一緒に塾行こうぜ」
「うん、おやすみ、翔野」
「おやすみ」
翔野が、自分を心配してくれていたことは、
私の心の中から、神坂先生を、消した。
あたたかい気持ちが、こころの中を満たして、
翔野に会いたいと本当に思った。