「晩ご飯…?
そんな約束したの?」
私は戸惑いながら聞いた。
予想もしていなかった約束を聞かされたからだ。
「うん、しかも先生から言い出したんだよ」
美月は嬉しそうに笑って言った。
「神坂先生から?」
「そーだよ!ねぇせんせぇ?」
美月のその言葉をきっかけに、神坂先生がこちらに歩いてきた。
「あぁ、そうなんだよ
絶対一位になるっていうからさ、賭けたんだ」
悪戯っ子のような笑みを浮かべる神坂先生。
「榛名さんの見解は?
一位、とれると思う?」
「…さぁ、分かりませんけど」
多分一位は取れるだろう。
俊足揃いのうちのチームは、
セイフティーバントと盗塁で点を取るのが一番得意なのだ。
3年生全員が、50メートル走を7秒前半で走る。
走者は5人だから、全員出ることになるだろう。
そして一位を取るだろう。
「ま、楽しみにしてるよ
勝ったら焼肉でも行くか」
「やったー!先生、約束ね」
神坂先生と美月の会話を聞きながら、
私はご飯を断る口実を一生懸命考えていた。