近寄らないと決めたからといって、
部活の顧問でも、社会の担当でも、委員会の担当でもある
神坂先生との関わりを完全に無くすなんてことは
不可能に等しかった。
『君という人間に興味がある』
という言葉を言われた日から、3日後。
もうテスト週間も終わり、通常授業に戻っていたその日、
社会の授業があった。
テスト後初めての授業だったために、
テストが返されるということは容易に予測ができた。
怖くて怖くて仕方がなかったあの時のテスト結果。
‘せめて90点以上とれてますように’それだけを祈った。
しかし、神坂先生が言い放った言葉は、無情にも
「最高点は、88点だった」
だった。
それを聞いた瞬間、90点以上という望みがなくなり、
私は愕然とした。
出席番号順に返されていくテスト。
しばらくして、「長谷川さん」と私の前の人が呼ばれた。
「榛名さん」
呼ばれてから席を立ち、神坂先生の方へ向かう。
神坂先生の隣まで行くと、
配膳台の椅子に座ってテスト返却を行っていた先生を
見下ろす形になった。
ゆっくりと手を伸ばす。
きっとその時の私は、かなり冷やかな眼をしていただろう。
神坂先生の眼が少し狼狽して見えた。
それでも彼は、こっちをしっかりと見て、
テストを返却してくれた。
その時、彼が私に言った言葉を
私は今までも、そしてこれからも、忘れることはできない。