「ふふ」


言葉に詰まった私を見てか、

神坂先生が笑った。


さっきまでの怖い先生でなくて、

いつもの優しい先生だった。



怒られても仕方ないのに、そうせず笑う先生に対して、

私はポカンとしてしまった。



「榛名さんって、面白いなぁ


 完璧に見えて、取っつき難い気がしたけど、

 ここで言葉に詰まるかぁ


 何でもいいわけ思いつきそうだけどなぁ」



「す…すみません…」


黙っているのもどうかと思って、

発した言葉に、神坂先生は、また反応した。



「ははっ、どうして謝るの

 

 まぁおれも君を苛める形になってしもうたな

 申し訳ない


 でもこうやって話せて嬉しいよ」



その素直な言い方に、

私はこの人に羨ましささえ覚えた。



「素直」そんな感情、なかなか出せるものじゃない。

本当の自分を出したって受け入れてもらえるか分からないから。



‘だから…この人が怖かったのだろうか’


私はふと考えた。



自分が持っていないものを持っている人。


そんな人に対して自分の持つ感情は、

恐怖か、憧れだ。


この人の場合は「怖さ」だったのかぁ…


私は神坂先生の姿を見つめたまま

考え込んでしまっていた。