少し考えて、
私はその日中に、神坂先生の所へは
行かないことに決めた。
メッセージを残してくれた聡子には悪いけれど、
それはあとで聡子に謝れば良い。
もし神坂先生に何か言われたら、
聡子と会えなかったから、何も聞いていないと伝えればいい。
「ばいばーい、結木」
「あっ、ばいばい」
3人組が教室を出る。
私は1人になっていた。
「私も行かなきゃ…」
そう呟いて、リュックを背負い学生鞄を持つ。
リュックはその頃、セカンドカバン、略してセカバンと呼ばれていた。
部活がないので,
その日はそのセカバンの中は軽いと思いきや、
明日のテストの教科の教科書が何冊か入っていたので
結構重かった。
教室の電気を消し、鍵を手に取る。
「あ…鍵…」
最後に教室を出る者は、
鍵を職員室まで返しに行かなければならない。
‘神坂先生、いてるかな…
困るな…
あ、でもテスト期間中やから
今の時間は
先生も正門で生徒を見送ってるかな?’
そんな淡い期待を抱く。
「めんどくさいなぁ
返しに行くの」
鍵を閉めながら、
ついつい声に出ていたようだ。
「おれが、返しとこうか」
返事してくれた人が、いた。