5月の半ば、中間テストがあった。
私の中学は、テストの1週間前から「テスト週間」になり
部活はすべて停止になる。
なので、テスト週間中は、放課後すぐに塾に行って、
夜の9時くらいまで自習するのが習慣になっていた。
その日はテスト前日だった。
帰りのホームルームが終わり、聡子と一緒に教室を出る。
翔野はサッカー部で少し用があるらしく、
塾には遅れて行くというからだ。
靴箱を出て、真っ直ぐ校門へ向かう。
そんな私の眼に入ってきたのは、
校門のところで女子生徒と話をしている賀川先生だった。
取り敢えず、横を通った時に挨拶しようと思って
校門へ向かうと、
「せんせぇ~私、英語100点とるけんなぁ」
と甘えたような声が聞こえてきた。
その子はどうやら賀川先生のクラスの子。
そんなに出来は良くない子だった。
私は正直、‘勉強してから言えよ’なんて
思ったものだ。
これは、この頃の私が、
かなりプライドが高かったことを示していると思う。
すると、賀川先生が、一言こう言った。
「榛名でもとれんようにしとるけん、無理むり!」
笑いながら。
私を意識していったことが分かったため、
「絶対取りますから!」
と私もムキになって返した。
賀川先生とのこういうやりとりは、
テスト前になると日常茶飯事だった。
授業中にも、休憩中にもよく言われる言葉だった。
だから、ムキになっても私は笑っていたし、
賀川先生も笑っていた。
でも、もう一人笑っていた人がいたんだ。