「謝る…ことですか…?私に…?

 …何でしょう…?」


戸惑いながら、聞き返す。


一体何を、この人が謝る必要があるのか。

避けていたのは私なのに。



「部活中に、関係ないことを喋ってしまった件だ

 本当にすまなかった


 ここでの部活の雰囲気が分からなくて、

 ついつい喋ってしまった


 何人か、ソフトで推薦狙ってるやつもいるんだな

 

 君はその子たちのことを、

 きちんと考えていたんだろう?


 しっかり練習して、勝ち上がっていけば

 注目もされやすくなる…


 君はつまり、

 人のために動いていたわけだ


 すごいな」



私はびっくりした。

賀川先生はここまで喋ったのか。



「賀川先生から、聞いたんですか?」


そう聞くと、予想だにしなかった答えが

返ってきた。



「賀川先生…?いや…?

 

 あ、もしかして賀川先生が君に

 何か言ったかい?


 申し訳ない!

 少し君の態度で不安になってしまって

 ついこぼしてしまったんだ


 推薦の件は、今さっきPCで調べたんだ

 結構ようけおるんやな」




この人は…

自分で、まず一つ目の答えに辿り着いたのか…。


自分で、「私が私語を嫌う」ということと、

「推薦を狙ってる部員が多い」ということに


気づいたのか…。



そして美月を拒んだ…。



私は眼を細めて、

初めて神坂先生に向かって微笑んだ。



「私こそすみません

 あんな態度をとって…

 部活のことは何でも聞いてください」



神坂先生も、微笑む。



「あぁ、ありがとう

 じゃあ、早速なんやけど…」



初めて、神坂先生という人を

認識できたような気がした。