「でも、神坂先生は結木には優しい気がする・・・」
自分のやきもちだと分かったのか、
美月の声音が少し委縮した。
「神坂先生は、私の肩書きを
気にしているんだと思うよ」
私は溜息をついて、美月に答えた。
「私は生徒会長もしてるし、
それにあの人が担当するソフト部の
キャプテンだしね
それに私や美月が自分の担当する
クラスの生徒だってことも分かってるはず
こういう言い方はアレかもしれんけど、
あの人が私に近づいてくるのは、
部活をまとめやすくしたりするためやと思うよ
あとは、私の持ってる肩書きを見てる・・・
それだけだよ」
私はいつにもまして冷静な口調になっていた。
それが自分でも分かった。
私は神坂先生を、無意識のうちに
努めて主観的にみないようにしていたのだ。
「そ・・・うなのかな・・・」
美月が泣きそうな声で言う。
あぁ、この子はこんなにも神坂先生に
惚れているのか。
そこまで人を想えるその気持ちを、
私は羨ましく感じた。
しかし果たして神坂先生のどこがいいのか?
一度じっくり聞いてみたい気もしたが、
私とてそう暇ではない。
「肩書きで見られるもんの気持ちにもなってみ?
女として見られてないんやで
美月も、先生に注目してほしいなら、
部活とか社会頑張りや、そっからやと思うで
美月は南高の推薦狙ってるんやろ?
総体は決勝まで行こうで」
励ますように、言う言葉。
それは美月の心に届いたようで。
泣きそうな顔から一転、
彼女は笑って答えてくれた。
「うん、頑張ってみる」
その笑顔は、女の私から見ても魅力的で。
素敵だと、そう思ったんだ。