賀川先生が出て行って、20分ほど、

生徒会室でぼーっとしたままでいた。


入学式の片付けに行かなければ

ならないのに、


そんなことはどうでも良かった。


賀川先生は生徒会の担当でもあるから、

体育館に行けば、嫌でも顔を合わすことになる。



「でも行かなきゃ行かないで

 また何か言われるかなぁ」


独り言をつぶやきつつ、

ふっと窓の方を見る。



ソフト部の部員がキャッチボールを

しているのが見える。


でも、そこに神坂先生の姿は、なかった。



「まだ来てないのか…」


とつぶやいた瞬間、

神坂先生がグラウンドに出てくるのが

見えた。



美月が、キャッチボールを止めて

神坂先生の方に向かうのが見える。


彼女とキャッチボールをしていた後輩が

ボールを持ったまま少し困っているみたいに見える。



‘またか…

 なんとかせないかんのか’


そう思って見ていると、



神坂先生が美月に声をかけた瞬間、

美月の顔が強張ったように見えた。



その時、丁度眼鏡をかけていたので

見えたのだ。



美月は少し戸惑ったような感じで

神坂先生から離れ、


キャッチボールを再開した。



‘賀川先生が言ったのだろうか

 私がさっき言ったことを’


と思いながら、私は生徒会室をあとにした。



無性に部活に出たくて仕方がなかった。