賀川先生のもとから逃げて、

私はいつの間にか生徒会室に来ていた。


キーホルダーにつけてある鍵を取り出し、

ドアに差し込んだ。


くいっと鍵を回し、開ける。



「榛名」



「!」



何も考えず、ドアを開ける。


ためらうことなく、私は、

生徒会室に滑り込んだ。



そしてドアを閉めようとしたが

一足遅かった。



「!」



私がドアに手をかけた時にはもう、

賀川先生も生徒会室の中に滑り込むところだった。



私はドアを閉めるのを諦め、

生徒会室の真ん中に置いてあるテーブルの方に

あとずさった。


すると意外なことに、

賀川先生は、私の方を見ながら、

ドアを閉めてしまった。



そしてそのまま中から鍵をかけ、

私の方を向いて言った。



「どうして、神坂先生を避ける?」



私は黙ったままだった。

どうしてそんなことを言わなければいけないのか

さっぱり分からなかった。



これは神坂先生と私の問題で、

賀川先生には関係のないことだと

思ったからだ。


正直、私が神坂先生を好こうが嫌おうが、

どうでもいいことではないか。



私自身にとっても

どうでもいいことなのだから。



「嫌っているのか?



何も喋ろうととしない私を見兼ねてか、

賀川先生はもう一度尋ねてきた。



「どうして?



「だって、部活中、

 関係ないこと喋るから!」



私の神坂先生に対する印象を言っても、

賀川先生は理解出来ないに決まっている。


それならと思い、

私は無難な事例を伝えることにした。


どうせここで喋ったことは

神坂先生にも伝わるだろう。



そう思ったのもあったが、

私は早くこの空間から出たかったのだ。



いつもは居心地の良い生徒会室が、

その時は居心地が悪くて仕方がなかった。