翔野とは、私の家の前で別れた。
普段はその一本前の道で別れるのだが、
その日は家まで送ってくれたのだ。
部屋に入って、
私は今日のことを考えていた。
それは、翔野のことがほとんどだったが、
少しだけ、神坂先生のことも考えた。
あの人は何故、私に話しかけようとして
少し一生懸命になってたんだろう?
どうして翔野は、あの人のことを
目の敵みたいにしてるんだろう?
その答えは、
私には分かりかねるものだった。
人の心を確実に読むすべなんて、
身につけているはずもない。
‘まぁ、私の肩書を気にしてるんだろう’
と、その時はそう結論付けた。
あの人は私の役割を知っていた。
生徒会長だということも
優等生だということも
キャプテンだということも
あの人は認識していた。
そうだからこそ、あの人は、
私に近づいてきたのではと思ったのだ。
先生というもののほとんどが好むような生徒を
私が演じているがゆえに、だ。
ただ、その時の私は、
神坂先生の前でそれを演じる気は、
ないに等しかった。
こういうと、「扱いにくい生徒になるのか?」と
思われるかもしれないが、
それとはまた違う。
私は、彼と関わる気がなかった。
必要最低限の関わりさえも
出来ることなら拒みたいとさえ
思っていた。
そう思うほど、
私はあの人が怖かったのだ。
いろいろなことが
私の頭の中を駆け巡った。
しかし、そんなことを考えている暇など
ないのも事実。
晩ごはんを食べて、お風呂に入って、
明日の準備をして…
いつの間にか、午後11時になっていた。
‘とりあえず今日は寝るか…’
と思いつつ、私は布団に入ろうとした。
すると、ベッドの上に置いてあった
一枚のプリントが、
するりと下に舞い降りた。
それは時間割だった。
私はそれを壁のボードに貼った。
さっき確かめた明日の時間割を、
もう一度確かめる。
明日は、「社会」はない。
「社会」があるのは、明後日だった。