フェイクニュースとは虚偽の情報でつくられたニュースのことで、主にネット上で発信・拡散されるうその記事を指すが、誹謗・中傷を目的にした個人発信の投稿などを含む場合もあります。最近は世界各国の大統領選挙にまで衝撃を与えているフェイクニュースですが、日本国内でもネット上には真実かどうか分からない情報が次々と現れ、拡散され続けています。
フェイクニュースを作った人から広めた人への流れから見えてきた問題点は、多くの人が注目を集める記事を書くことが、お金儲けにつながるネットの仕組みや、SNSで知り合いからの情報を深く考えず思わずシェアしてしまう実態です。また、真実と嘘が隣り合わせに存在するネットの世界の情報を私たちはどう見分けていけばいいのかわからないことです。
現在、この手のフェイクニュースは、SNSの普及とともに最盛期を迎えていると言っていいでしょう。膨大な数のニュースがネット上に溢れているため、その真偽を人間側が見抜くための時間も、余裕も、手段もなくなってきているからです。対処法としてメディアで「ファクトチェック」が行われていますが、それも限界があるようです。
それではフェイクニュースに対する根本的な対応方法はないのでしょうか。韓国大学教育機関の双壁であるKAISTとソウル大学は、2014年からフェイクニュースを判別するための共同研究をスタートさせています。その結果、現在では膨大なデータをもとに、フェイクニュースのパターンをモデル化するまでにいたったといいます。それらモデル化されたアルゴリズムで過去に出回ったフェイクニュースを検証したところ、90%の精度で「嘘」であることを見抜くことに成功しているそうです。
一方、フェイクニュースを人間に見せた際、それを嘘だと見抜ける精度は平均66%だったという調査結果も残されています。人間はメッセージそのものを見て真偽を判断するが、人工知能はメッセージの裏側、つまり様々な「伝播パターン」を捕捉・解析するため、その精度にもおのずと差が出てくるのだといいます。
なお、フェイクニュースには特徴的な3つのパターンがあるといいます。
1.伝播パーンが「ギザギザ」である:フェイクニュースの発信者が一定の目標を達成しようと、人為的な検索やコメント書き込みを行っているため、このような伝播パターンが生まれるということになる。
2.伝播者間のネットワーク構造に差がある:関連がないユーザーたちが散発的に参加することで伝播される傾向で、組織が「点」であり、繋がりも希薄で、「線」の組織を形成することができない傾向にある。
3.一定の「言語的パターン」を伴い伝播する傾向がある:より具体的に言えば、「○○で聞いたのだけれど」、「デマかもしれないが」など「責任回避性言語」が使用される特徴がある。
このような特徴を見抜く方法として、コンピュータアルゴリズムを使用して分析を行うことが台頭されています。また、それらの分析においては、ビッグデータや、ディープラーニングなど人工知能が役割を果たします。今後のフェイクニュースを見破るアルゴリズムにとって課題となっているのは、“時間”です。嘘が拡散した瞬間、瞬時に真偽を判別できなければ、人々にとって有用とはとても言えないでしょう。
昨今、人間がすべて検閲することができないほど膨大なデータが日々生まれては拡散しているが、データさえ確保できれば、人工知能を使った真偽の判断が可能になり、情報社会に蔓延する嘘を見抜くことができるようになるでしょう。人工知能に時間や構造、言語的特徴を入力して、数秒以内にフェイクニュースを検出可能になる日は、それほど遠くないように思えます。
※参照:人工知能でフェイクニュースを見抜け!専門家が語る「3つの伝播パターン」とは?