11月20日、金曜日。


朝からバタバタと家中の片付けと掃除をすませ、夫は朝食も食べないまま11時過ぎに息子のところへと行った。




トラックのレンタルは12時から4時までだと聞いていたので、5時ごろには帰宅するだろうと私は思っていた。


夫がいないのを良いことに、息子(弟)と2人で夫へのクリスマスプレゼントを買いに出かけお目当てのものを購入した。



3時過ぎにようやく夫から電話があった。予約していたトラックがなく、系列の他の代理店に行く羽目になり、さらにそこにもあるといわれたトラックがなく結局は少し小さめのトラックを借りる羽目になったらしい。そのせいで荷物が一度に全部運べないため時間がかかっているとのことだった。


息子はトラックのことで苛立ちはしたものの、それ以外では落ち着いていたそうだ。2人は5時ごろようやく食事を取り、最後の荷物を母親の自宅まで運んだ。



この時点で、息子は空港近くのホテルに泊まる話も出ていた。息子が乗る便は朝9時発。国内線とはいえコロナの影響で2時間前の7時には空港に着いていなければならない。母親がその方がいいならホテル代を出してもいいと息子へ話した。


我が家から空港まで車で20分ほどで遠くはないので、ホテルにわざわざ泊まらなくてもと私は思ったが、息子が決めることだ。夫もまんざらではないようだったのであえて何も言わなかったが、心の中では息子(弟)が知ったら大変なことになるだろうなと考えていた。




息子は兄に会うのを楽しみにしていた。4年以上会わず、そして今回は5ヶ月以上会ってなかったのだから当然だ。夫はどっちにしろ一度家には帰ってくると話したが、息子(兄)と2人でホテルに泊まるなんて知ったら息子(弟)は自分も行きたいと言い出すのが目に見えていた。




息子(弟)はお父さんっ子だ。マンション内のジムに夫が行くだけでも心配して泣き出す時がある。そして兄が一緒の時は、兄にまとわりついて夫に見向きもしない。息子(弟)にホテルのことを一応可能性として話そうかとも思ったが、息子(弟)が怒り狂うのが目に見えるので夫に任せることにして何も息子(弟)には言わなかった。




結果、8時前に2人は帰宅した。我が家に泊まることにしたようだった。兄と弟はハグで挨拶し、私も息子(兄)にハグをした。6月に比べて体重が少し戻っているようだった。顔色は相変わらず悪かったけれど、これはただの生まれつきの肌の色だろう。夫以上に真っ白な肌の色なのだ。髪は綺麗な赤毛なのだが、以前より伸びていてよく似合っている。高校生の頃はまだ幼さが残りかわいい顔つきだったが、21歳の若者の男らしいハンサムな顔つきだった。



話し方も優しく、私の知っている息子で、夫から聞いた悪魔が憑依した息子ではなかった。どうみても薬物には手を出していないようだったので安心した。




息子(弟)は思う存分兄に自分がやっているプレステのゲームを見せられて満足しているようだった。いつもより少し寝る時間が遅くなったがしょうがない。兄と夫は散歩に出かけようやく息子は(弟)は寝付いた。


1時間半ほどして2人は帰宅し、ソファに息子(兄)用のベッドを作り私は寝室へといった。




翌朝6時、目が覚めると息子は(兄)は起きているようだった。午前3時ごろまで夫がベッドに来なかったことからして息子は寝なかったのだろう。


夫が勧めたDVDのドラマを夜通しで観ていたらしい。6時半過ぎ、私と起きてきた息子(弟)にハグをし、息子は夫とともに空港へと向かった。