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シリア内戦 ダマスカス陥落 バラク・オバマの罪

12月8日、シリアの反政府組織が首都・ダマスカスを制圧したと発表しました。
2011年にチュニジアで起きたジャスミン革命は、
中東周辺地域にも波及し「アラブの春」と呼ばれる反政府デモが起きました。

シリアでも政府を批判するデモが起きましたが、
政府軍と民兵が衝突し、泥沼化していきます。

アサド政権は徹底的に反政府組織を攻撃しますが、
そこに加担していたのがロシアでした。
ロシアの軍事介入は2015年からでしたが、
争乱当初から影響力を発揮していたとされます。

米オバマ大統領は、軍事介入のレッドラインを
「化学兵器の使用」と設定。
2013年にアサドが化学兵器を使用しているとして、限定空爆を提案。
これに対し、ロシアのプーチン大統領は
アサドに化学兵器放棄案に合意するよう斡旋、
合意が交わされたことで軍事攻撃が回避されることになります。

ただ、やはり化学兵器は使用されていて、
それでも、オバマ政権は軍事行動は起こしませんでした。

ここまでにシリア領空に飛行禁止空域の設定を検討するなど、
空爆の準備を進めていましたが、
わざわざオバマは、空爆しないとアナウンスしてしまいました。

実際に空爆するかしないかはともかく、
飛行禁止空域を設定し、シリア軍を攻撃する姿勢を見せていたら、
こんなに長引くことはないはずで、
すくなくとも「アメリカは何もしません」なんていう姿勢を
世界に見せる必要はなかったのです。

おかげでロシアはやりたい放題。
ロシアにとってほぼ唯一の脅威はアメリカですから、
そのアメリカが出てこないことがわかれば、
何でもできるわけです。

そして、プーチン大統領がウクライナに侵攻するという過ちを犯したことで、
ロシアの兵力が足りなくなります。
ロシアはそれまで影響力を発揮できていた中東やアフリカで立場を失っていき、
シリアの支援どころではなくなり、
アサド政権は反政府組織によって倒されることになりました。

オバマは、現職大統領として初めて被爆地・広島を訪問するなど、
「平和的な努力を見せる」ことは得意ですが、
何しろ中身がありません。
中国の海洋進出にも、手を打ちませんでした。
アメリカがこの問題に本腰を入れるのは、
安倍元総理が在任中に掲げた「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」以降です。

シリア内戦の最大の責任はアサドで、次いでプーチンですが、
その次はオバマになろうかと思います。

内乱が13年間も続いてしまった要因でしょう。

シリアからの映像からは、国民が快哉を叫ぶ様子が伝わってきますが、
そもそも、アラブの春以降、反政府組織は乱立していて、
その目的もそれぞれ異なります。
この状況で、統治が可能なのか極めて疑問です。

既にイスラエルがシリア領内を攻撃していて、
その目的には、ヒズボラなどの勢力の拡大、
化学兵器がそれらの手に渡ることなどの懸念からの先制攻撃だとされますが、
シリアにおけるイランの影響力を排除する意図もあるでしょう。
イスラエルの動きにも注目です。

アメリカでは既にバイデン政権がレイムダック状態で、
たいしたことはできないでしょう。
次期トランプ政権も、ユダヤ系の影響力が強く、
イスラエルの問題では、黙認するかもしれません。
アサド政権時よりもさらなる地獄になる可能性もあります。
そもそも、トランプ政権は極めて内向きの政権になると予想されています。
私にはまだ、シリアの明るい未来を想像することはできないのです。
 

亀井藤兵衛「三十三間堂」