光を失う海といつか見た白日夢と2500人によるジャンプの話 | 考えてる途中。

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ふしぎと意味のない文章ばかり書きあがります。

『コンセプトライブということでここまでやってきましたが、次が最後の曲となりました。
この曲はMOVEというコンセプトにあわせて、最後の最後までこの会場と(配信を)見てくれているの皆で作り上げていきたいなと思うので、よかったらサイリウムをおいて、みんなで音を奏でてみませんか?最後はみんなで一緒に、クラップで、大きな音を奏でていきたいと思います。』


このセリフは昨日開催された「私立恵比寿中学 Concept Live ~MOVE~」大宮公演の最終盤に美怜ちゃんが客席に向かって呼びかけた言葉です。間髪を入れずステージ上の5人が一定のリズムで手を鳴らし始めます。


と、いうわけで。
昨日は自分史上、最もステージに近い座席にて公演を見ることが出来ました。
そこで、この最後の曲の際に一体何が起こっていたのかの一点に絞って、ぼくが自席にて見たこと感じたことを勢いで足早に書き連ねておこうと思います。見ての通りネタバレですので、以下もネタバレしかありませんので、今後の公演まで情報をシャットアウトしたいという方は、ここでページを閉じてしまってください。




先ほどの美怜ちゃんの呼びかけを受けて、客席ではほとんどのペンライトのスイッチが切られました。代わりに、メンバーのリズムに合わせた大きな手拍子の音がステージに返されていきます。会場にはうっすらと、ジャンプの特別版イントロが流れ始めます。

『コンセプトライブMOVE、ここまで19曲、やって参りました。
 最後の曲は、さっきも言いました。みんなで奏でたい。みんなでひとつになりたいんです。わたしたちはいつだって、ひとりじゃございません。だけどみんながいれば、いつだって飛べると、そう信じています。もっともっともっともっと、みんなの力で、高いところに行きたいです。行くぞ、お前ら!』


今度は真山さんが声をあげ、会場を煽ります。
丁寧なございます言葉と乱暴な行くぞオマエラという両極端な語彙のことなんて誰にも気付かれず、拍手の音はさらに大きくなっていきます。

タイムシフトで配信の映像を確認をしたのですが、歌が始まるとともに会場のエアマイクのフェーダーは下げられ、聴こえてくる音声は演奏とメンバーの歌声に絞られていきました。
ただ、映像をよく見るとわかるのですが、会場の拍手は止まっていません。音声でもうっすらとそれが確認できます。でも、現場ではうっすらとした拍手などではなく、とても大きな拍手が響いていたのです。彼女らの声に負けないように、または、逆に彼女らを鼓舞するかのように、ずっと大きな音で鳴り響いていたのです。

前にも似たようなことを書いたことがあるのですが、ジャンプは色々な風景を持っている曲です。イントロの少し乾いた冷たい感じのするシンセの音。その冷たさに息を吹き込むかのごとく重なってくるストリングス。その世界を一度闇に染める真山さんの歌いだし。
その後も斯様に色々な視点や風景が遷り変わって、群像劇のように物語が展開し収束してゆく。心を入れこの曲と向かい合った時、ぼくにはそんな風に聴こえてくるのです。

しかしきょうのジャンプには、それらのたくさんの風景に覆い被さるように、ひとつの大きな力が上書きされていたように思えます。



美怜ちゃんの呼びかけによって、メンバーがことあるごとに大好きだと語っていた客席のペンライトの海は光を失いました。だけれど、そのぶんいつもの数倍の勢いでハンドクラップの波がステージまで打ち寄せています。
普段ならフリコピタイムにうつろうタイミングに入ってからも、会場の暗い海からは、変わらずリズミカルに次から次へと拍手による轟音の波が生み出され続けてきます。フリコピ勢もペンラ降りまくり勢も、きょうは拍手を続けているのです。

音圧なのか風圧なのか、このハンドクラップはとても大きな力を纏っていました。
これは決して修辞的な表現ではなく、直接的な表現です。客席のほぼ全員が武器を手から離しフリーハンドで打ち鳴らしている拍手です。物理的に大きな音になるに決まっています。
そして、力が込められているに決まっています。
なぜなら、コールによる言葉という武器をもぎ取られた僕らに遺された、一番シンプルで一番強い武器。そして有史以前の最古からある、おそらく誰もが自在に使いこなせる楽器。それがハンドクラップなのだから。それを贈るべき相手が目の前にいるのだから。

冒頭に述べたように、ぼくは今回だいぶ前の席に恵まれました。会場内の95%近くを後ろに背負うような席です。そこで浴びせられたハンドクラップの波の力には、勢いと説得力を感じるしかありませんでした。自分語りしても仕方がないですが、ぼくは8人体制になってから150回超のライブに参加してきています。断言しても良いですが、その経験の中でも感じたことのない類の、とても力強く頼もしい音でした。

その波の100%を受け止め続けた彼女らの歌声。現場の人も配信の人も、はじめは震えたような、少し上ずっているような、何かがこみあげてきたような、そんな声に聴こえてきたものだと思います。彼女らを包むかのような、または、彼女らを励ますかのような拍手には、彼女らをそんな気持ちにさせてしまうくらいの力があったこと。それは想像に難くありません。




だから愛を込めて。がむしゃらに愛を込めて。もう一度愛を込めて。

演奏のラストを飾るストリングスの最後のフレーズが終わるまで、石崎ひゅーいの紡いだアレグレットの鼓動に載せて、会場の2500人の心音はずっと重ねられていました。
2500人の心臓のドラマで奏でられた、2500人によるセッション。みんなで一体になって、夢中になって奏でた一曲。コールの出来ない今だからこそ生み出すことのできた、奇跡のような時間。

きょうもまた格別な至高の瞬間に耽溺することが出来た。幸せな白日夢の世界へオーバードーズすることができた。音の波に晒されたぼくは、少しだけヒリつく手のひらの生きた感覚とともに、ぼんやりとそんな充足感に浸るしかありませんでした。

みんながいればいつだって飛べるという気持ち。
行きたかったもっともっともっともっと高いところ。
ステージでのメンバーの表情を見るに、きっと何らかのアンサーを、ステージのこちら側から受け取ることが出来たのではないかなと。ぼくは勝手にそんなことを思わずにはいられないのです。




惜しむらくは、配信ではこのセッションが伝わり切っていなかったこと。
エアマイクの音声を絞って演奏とボーカルを上げるのはセオリーですし、それで間違いはありません。音声班や配信スタッフの方には、なにひとつ落ち度なんてありません。
そもそも本気で悔しいのは、これを各地で皆で味わうことが出来ないことなんです。やっぱりライブなんですよ。皆で現地で一緒に奏でるべきなんですよ。時代が許せば3公演なんてことを言わず、もっともっと全国に広げて繋げて欲しいんですよ。

特に大阪。降って涌いた災難で公演自体がなくなってしまいました。
調べてみましたが、もともとの公演日の近隣の同規模のホールは別のアーティストの公演等で、全て埋まっていました。近畿圏での移転公演というのが出来ず悔しい想いをしているのは、運営サイド・制作サイドだって一緒だと思います。カレンダー的な問題もあるとは思いますが、可能であればなんとかリスケして、新たな日程での大阪公演を実現して欲しいと切に願います。


といったわけで、強引にまとめてしまいますが。

運営様へ。
この公演のジャンプについてですが、音声を整え、会場のハンドクラップを活かした上で、YOUTUBEなりにUPして頂くことはできませんでしょうか。ぼくら2500人みんなで奏でた生きたライブの力強さっていうものを、世の中に広く伝えることはできませんでしょうか。
是非に、ご一考願います。是が非でも、です。宜しくお願い致します。





・・・ええと、「ジャンプすごかったなーん」て言いたかっただけなのに、こんなんなっちゃいました。




といったあたりで、そろそろ寝ますです。
おやすみなさいグー。