ガムラッドな年の瀬とぶつかりあった肩とI'll be hereの話 | 考えてる途中。

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おもにエビ中の好きな曲のこととかを考えてる途中。
ふしぎと意味のない文章ばかり書きあがります。

そんなわけでこの週末は、エビ中さんの公演「私立恵比寿中学 バンドのみんなと大学芸会2020 エビ中とニューガムラッド」に行ってきました。


ライブリポ的なものを書こうにも、ありがたいことにフジテレビTWOにて中継が為されておりましたので、とくにリポートする意味はないかなと。遠かったりはじっこだったりの席でしたので、細かいメンバーの所作とかなんて中継を見られたかたの方がしっかりわかってますしね。加えてナタリー様の記事もUPされたご様子。うん。ぼくの出る幕ナッシングですね。


それではかわりに今回の公演で印象の深く感じた数曲について、ちょっとメモっていうか感想っていうか、頭に浮かんだことをつらつらっと書き残しておこうかなと思います。まとまってません。




■イエローライトについて

たむらぱんさんによる新曲イエローライト。公演のひとつの目玉でしたよね。

楽曲としてはミドルテンポからちょいアレグロ程度のビートで、耳なじみの良いメロディーラインを持つもの。そこにたむらぱんさんらしいメッセージがしっかり載せられており、聴いていて非常に感慨深いものでした。

 

とかいいつつ、実はまだ断片的にしか歌詞を受け取れていません。現場にいたのでそんなもんなんですよ。…フジテレビTWOの中継では、歌詞の字幕は出ていたのでしょうか。以下、もしかしたら全く持って見当違いのことを書いてしまうかもしれません。でも書く。

歌詞のテーマはイエローライト、つまり黄色信号を前向きに捉えるもの。
コロナに塗れた世情であったり、メンバーのことであったりと、いまの彼女らには、そして世の中のもろもろには、歩みを止めさせるイエローのライトが灯っている状況。でも、そのライトもまた必要なものであるのだと。進めるときにしっかり進むために灯っているものであるのだと。
ネガティヴな喩えとされがちな黄色信号の捉え方にも、優しさや温かさを載せ込むことができるなんて。たむらぱんすげえなあと思わされるばかりでした。

ずーっと彼女らをつかず離れず見守ってきたたむらぱんさん。
大人はわかってくれないで爆発寸前の中学生の姿を描き、ポップコーントーンで大人になることの憧れと怖さの狭間での混沌と葛藤を描き、感情電車でひとりの人間としての旅立ちの時を描き。今度は立ち止まる勇気についてを描き出してくれています。
ぱんさんはステージでもエビ中メンバーと同じイエローの衣装で登場。ある意味、公演中の彼女はエビ中の一員と言ってもよいのだろうなと思います。いつもありがとう、ぱん様・・・。

・・・といったあたりのことを考えていたところ、ぱん様ご自身はこんなツイートをされていました。

 

 

そうか、街のやわらかい灯りもまた、イエローなライトなのか。歌のモチーフは、決して注意信号のことばかりではなかったのか。僕が読み取れなかった部分はまだまだたくさんだ。しっかりこの曲のことを考えてみたい。
 

でも結局、全公演を通して、この曲のリリース情報的なものはありませんでした。
でもでも、別にこの曲の解釈を急ぐ必要はないのだろうなとも思えます。なぜなら、ゆっくり噛みしめるために、僕らは足踏みしたりするのだから。

うん。きっとそう。

 

余談ですが。

『赤と青の間で』といった歌詞を真山さんが歌っておられました。赤と青がまざるとムラサキなので、ここの歌割りは真山さんしかいないよね。とかとかくだらないことを考えたりしておりましたとさ。





■ねえ中学生について

公演の半ばに差し掛かるあたりのことです。
CD音源と少しテイストの違う、バンドセットでアレンジされた曇天のイントロがかかります。3公演目の参加となる僕なぞは、とても落ち着いたものです。
「ふふふみんなはわからないかもだけど、このイントロは曇天。しょっぱなの歌い出しはまやまさんだから…」と、会場中のファミリーの誰よりも早く誰よりも高らかに紫のペンライトを掲げようとモーションに入ったのです。

しかしですよ。
聴こえてきたヴォーカルはいつものまやまさんの気怠げな歌声ではなく、もうちょっと高くてポップな声。ハタと気付くと、セットの頂上にホワイティな女子がおひとり。歌声の主は吉澤嘉代子さんでした。

年末大学芸会の3公演目にして、いきなり現れた吉澤さん。
なるほどぱん様に気をとられていたけれど、必然でありつつの隠し玉というかなんていうか。これはまたまんまと演出家のサプライズに嵌められましたよ。やるな、キネオ。

しかしぬかりのないぼくは、キネオにこのまま負ける訳にはいかない。だから素早くこのあとの展開のことを考えるわけですよ。
キネオの考えくらい手に取るようにわかる。ぱん様と同じく、コラボは1曲じゃ済まさないでしょ。じゃあこのあと披露されるのは、面皰かな?日記かな?面皰も良いけどどちらかといえばぼくは日記が聴きたいぞ。

先手をうってそう考えていたぼくの後追いをするかのように、MCにてあと2曲ほどエビ中&吉澤でコラボる旨がアナウンスされます。ほらぼくの思ったとおりだ!みたか、キネオ。


そして始まったのは、次曲のどこかで聴いたことのあるけどどこでだったかぱっと思い出せないイントロ。吉澤さんのアルバム素晴らしい人たち収録のねえ中学生でした。

久しぶりだったのでこの曲の存在がこの瞬間まで思い出せなかったけれど、結果的に日記は聴けなかったんですけれど、これマジでバリ本気で聴きたかったんですよ。やるな、キネオ。

 

 


この会場に来ている大半のファミリー、きっとその98%くらいは、中学4年生以上のはずです。
中にはコンテンツの対象年齢を大きく上回った、ぼくのような残念なおっさん大きな中学生もたくさんいるわけで。そしてこの曲は、そういったかつて中学生だった全ての人類に向けて語りかけてくる歌なんですよね。

で。
日記の終盤での「ねえいつかはお別れがくるけれど、永遠ならここにあるよ。瞬く記憶の中に」という温かい歌詞と、ねえ中学生の「信号待ちで透明な肩がぶつかる。大人になった身体はどこへも行けず~」という切ない歌詞。このふたつの歌詞って、真逆の切り口から描かれているんですけれど、なんていうか表裏一体なように感じられるんですよね。
長くなっちゃうので端折るけど、なんとなくわかってください。わかってくれ。

メンバーみんなが二十歳を迎えたこの年の最後に、吉澤さんの写し絵のような世界観を歌うことが出来たこと、それを聴くことが出来たこと。なんだかとても素敵でどこか寂しくてとても尊い時間を味わったような気分でした。きっと言い過ぎで思い込み激しすぎなんでしょうけど、今回のねえ中学生は、とてもとても価値のある一曲になったと思っています。

やるな、キネオ。



1勝3敗。(勝ててない。)
 

 

 

■I'll be hereについて

もう一曲、大学芸会を通して印象深かったのがI'll be hereです。
CD音源ではシンセ出力されているイントロのフレーズを、上手ギターのYASHIROさんがアコギでピックを立ててしっかり響かせるところからスタート。これがかっこいい。

そしてわぎ太さんの真骨頂とも言えるディーヴァチックな歌唱、対峙するぼくらのまやまさんによるアーティスティックな歌唱。そこにかぶさるメンバー皆での息の合った振り付け。この曲がもつ「冷たさ」に通ずるような温度感を保ったまま、中盤から徐々にビートが利いてくる展開を経て、最後はまたアコギのフレーズから静かに楽曲が閉じられていきます。
フユコイとはまた違うアーバンで令和的な舞台の空気を、メンバー皆さんはしっかりと表現しきっていました。もう、かっこいいとしか言い様がありません。
しかしまだ客前での披露は3回目。もっともっと良くなるはずの一曲です。この曲の未来が楽しみです。


ただ、この曲のパフォーマンス以上に、ぼくはI'll be hereという曲名そのものに惹かれてしまうのです。だってこれ、学芸会の最後でわぎ太さんが言っていた言葉と、そのまんまかぶるんですよ。
「エビ中は、ずっとそばにいます。」  ・・・I'll be hereも「ここにいるよ」ですもんね。

苦しかったあの年、藍色のMONDAYでも「ここにいるよ」と歌われました。その年のツアータイトルも今、君とここにいるというものでした。いつの間にかこの言葉は、エビ中の隠れたテーマというか、うっすらとしたスローガンになったのかなと思えるのです。

少し記憶をさかのぼると、I'm your MANAGER!!!の冒頭で、「ずっとそばにいるよI'm your MANAGER!!!」と歌われたのがこの言葉の端緒になるのでしょうか。作詞者は前山田健一と、他でもないファミリーの皆さんです。つまり、「ここにいるよ」という言葉は辿り着くべくして、エビ中に辿り着いた言葉なのではないかなと思えてくるぐらいです。

むかーし誰かがどこかで言っていた言葉なんですが。

ももクロさんは「誰かを励まして元気づける存在」で、しゃちは「無理やり笑わせて元気にさせる存在」で、エビ中は「ただ一緒にいることで、誰かを元気にさせる存在」だ。そんな具合に違いを表現したものもありました。

どこまで本気でそう言ったものだかわからないのですが、なるほど、言い得て妙とはこのことかもしれないなと思わされます。

思い通りにいかないことって、いくらでもあるものです。
しかしそんなときに、誰かが一緒にそこにいてくれること。地味なようだけど、それってとてもとても心強いことであると思うのです。思い通りにいかなかったエビ中さんたちだからこそ、そばにいることの大切さをよくわかっていると思うのです。

そしてぼくらみんなが知っているとおり、ぼくらと一緒にいるときのエビ中は、いつもよりちょっぴり強いんです。きっと心配はいらないんです。きっと。

 

ソーシャルディスタンスという言葉が文字通り幅を利かせている昨今。メンバーからの「エビ中はずっと、みんなのそばにいます」という言葉、信じてみても良いのかなと思うしかありませんでした。







スーパーヒーローの歌詞にみなぎるパワーを強く感じながら、荘厳なアウトロのリフレインとともに、今年の大学芸会は幕が閉じられていきました。
客席からあふれる大きな拍手の音の中で、あんまりいいことのない年だったけれど、それでもしっかり一年を送ることができたよね、今年は今年なりに僕らはしっかりやってきたよねと、何かを肯定したい気持ちの自分がそこにいたのでした。


私立恵比寿中学 バンドのみんなと大学芸会2020 エビ中とニューガムラッド。
とても良いライブでした。
また来年も、こんなステージに出逢えますように。






それではそろそろ寝ますです。
おやすみなさいグー。