いつのまにやら3月も終わろうとしていますね。
なんだか2月の16日あたりから1カ月の記憶がほとんどありません。
この失われた一か月について、考えたこととか思ったこととか日記的備忘録的にメモライズを残しておくことにします。
■エンターテインメントという仕事について
まずは3月に入って。
楽しみにしていたエビ中さんの舞台、僕はコネチカットよりテクノカットが公演中止になりました。ぼくは大阪公演に当選したので、もろもろ遠征の準備をしておりました。中止の覚悟をしていた節はあったものの、残念な気持ちでなりません。
いや、僕の気持ちなんてどうでもいいんです。
メンバーや共演者、そして演出の高羽さん。誤認あるかもですけれど、皆さんがインスタやブログ、ツイッターなどで稽古の話をするときは、「開催できるかわからないけど」といった不安要素を含む言葉は絶対に使っていませんでした。「稽古が楽しい、楽しみだ」という前向きなベクトルの言葉ばかり用いていたんですよね。言ってしまえば、不自然なくらいに前向きでした。
これはつまり、校長や名前の出てこないスタッフの皆様含めて、関わる人すべてが後ろ向きな言葉を排除し前を向こうとしいていたことの現れだと思うのです。だから僕は自分の残念さなどよりも、皆様の無念さ寂しさ悔しさを強く感じてしまって、どうしてもやるせない気持ちに苛まれてしまうのです。
『俺たちのエンターテインメントという仕事は、まず世界が平和でなければ成り立たない。そのことを君たちはしっかり覚えていてほしい。』
メンバーと共に広島平和記念公園を尋ねた際、校長がメンバーにこういった言葉を伝えていました。ベースの世界があってこその潤いであるのだと。このときの映像は過去のEVERYTHING POINTに残されています。
自分語りとなりますが、僕は高校生のころ修学旅行で長崎や熊本を回りました。長崎の平和公園にも行ったはずです。しかしそこは偏差値38の高校。ゆかいな陰キャ仲間とともに先生の話なぞ耳も傾けず、平和記念像も「おおきいなあ」くらいの感覚のみで見ていた気がします。ガキなんて多少の差はあれ、こんなもんだと思うのです。
エビ中メンバーは、あの時の校長の言葉を覚えているだろうか。届いているだろうか。それは知る由もありませんが、校長のエンタメに対する仕事観であったり、この世界で生きていくべく彼女らに対する責任感であったり。そういった根っこの部分にあるものが、長らくのコンビネーションの中で現在&未来の彼女らにしっかり繋がっていてくれれば良いなと願うばかりです。
先生の言うこと、10年経って響いたぞ、と。
■音楽の先生について
公演中止発表の数日後の出来事です。
唐突に謎のティザー映像が僕らの前にドロップされたのです。明るい曲調の新曲にあわせ、水色ベースの衣装を身をまとったエビ中メンバー5人が歌い踊る33秒の動画。情報は曲名がSweet of Sweetであることと、公式LINEでの「3.22楽しみにしていてね」というメッセージくらい。リリースがあるのか今やるのかなど、全容はまったくもって不明でした。
ツイッターのTL上では曲や映像の感想とともに、様々な憶測が飛び交います。ティザーでの歌詞が何らかの具体的なテーマに沿っていそうなこと。ちりばめられた言葉にヒントがありそうなこと。ダンスがアイドル系なそれではなく、どこかコンテンポラリーダンス?めいたものであること。気になる部分がたくさんです。僕も「汲み上げられて透明に磨かれる」というワードから、これは三ツ矢サイダーのタイアップではないかと予想しておりました。
X-DAYである22日に目を覚ましたのは、情報解禁の朝4時から3時間ほど過ぎた時間でした。点けっぱなしのPCで確認すると、この曲はkubotaによるラブ水道水プロジェクトのタイアップであったことが発表されていました。
なるほど水道水ってのは汲み上げられて磨かれて、一般のご家庭まで届いているのか!熊本の水道水はミネラルウォーターなのか。そういえば南阿蘇水の生まれる里白水高原駅って聞いたことがあるぞ。そして小樽の水道水にはかすかに炭酸が入って爽やかなのか!ああ、小樽。小樽に行って一刻も早くテニスをしなければ!!
新たにドロップされたフルサイズのSweet of Sweetをヘビロテしていただけなのに、なぜだか各地の水道事情に少し詳しくなっている自分。凄い。これは凄い。なあみんな、今すぐ音楽を聴こう。音楽のチカラって凄いんだぜ。
少し落ち着こう。
音楽のチカラは確かに凄い。だがここでもう少しダイレクトに凄いのは、楽曲のプロデュースをした前山田健一のチカラだ。軽やかで何度も聴ける曲調はもちろんのこと。曲名のイタズラ、2度繰り返されるコーラスで何について歌っていたのかスッと飲み込める構成、その展開に合わせ使用される伴奏や音色の違い。この曲には遊びとアイデアが詰まっている。前山田健一の本領といったところで、エビ中の本懐ともいえる一曲に仕上がっているのだ。
kubotaのこのプロジェクトのメッセージもまた、いろいろなことを思い出させてくれるもの。当たり前のことが当たり前でなくなりつつある今。彼の音楽はこのメッセージを楽しく前向きに届けてくれる非常に良質なプロダクトだ。
エビ中の歴史において、彼は常に重要な局面に存在感を発揮してくれています。
初のオリジナル曲であるえびぞりダイアモンドに始まり、どしゃぶり・ティッシュ・ゴーストなどインディーズ期には、エビ中にほぼ付きっ切りで基礎を叩きこんでくれました。初めての武道館「ゆび祭り」で披露したのは彼によるゲタ箱ただ1曲で、別グループのファンにも大きなインパクトを残せました。スターダスト電車クラブでは廣田さんをタモリに引き合わせ、やはり彼の手による金八ダンスミュージックでミュージックステーションの舞台に彼女らを引き上げてくれました。
そして彼のプロダクト・永遠に中学生に関しては、今後いかなる局面においても絶大なる存在感を発揮し続けること。想像に難くありません。
僕がちょっと思い出すのは、過日のエビ中++にて作詞に挑戦するコーナーが生まれたときのこと。流れ星ちゅうえいが「作詞の先生をお呼びしました。ヒントは『ヒヤ』!」と告げた際、真山が間髪いれずヒャダイン=前山田健一の名前を挙げていました。彼の存在が彼女らにとって大きなものだということがわかるエピソードです。
そして今回のプロジェクトでは、前山田健一本人がエビ中『と』曲を作ったと表現しているのも大きなことだと感じます。少しのあいだご無沙汰さんになっていたかもしれないけれど、彼は彼女らと共に歩んでいたんだと。
世界は楽しいものなんだ。真っ暗闇じゃないんだ。迷いそうになっていたこの一カ月。彼の音楽が地下深くから救ってくれた。なあみんな、音楽って凄いんだぜ。うちの音楽の先生って凄いんだぜ。
■言葉のチカラについて
タイミングは前後しますが、3月20日にはプロ野球専用アプリ「スポナビアプリ」のCM動画が解禁されました。
野球好きの大人たちは、年齢なんか関係なく今でもプロ野球に夢を見てしまう野球少年の成れの果てだ。そんな大人たちに向けて、動画は映像とともに言葉を投げかけます。少しの寂しさやほんの少しの朴訥さを帯びた、どこか野球少年のあどけない呟きにも通じる声質。その声が、しっかりと語り掛けてきます。
ご存知の通り、声の持ち主は我々の誇る孤高のスワローズファン・柏木ひなたさんです。この応援メッセージが耳に届いた日本中老若男女の野球少年たちも、彼女の言葉に心の中で「そうだ。俺も待ってるぞ、プロ野球。」と続けたのではないでしょうか。
『俺たちのエンターテインメントという仕事は、まず世界が平和でなければ成り立たない。』
校長はそう言いました。
だけど、平和でない世界が訪れたとき。僕らに希望や笑顔を取り戻させてくれるものもまた、校長や彼女らが大事にしているエンターテインメントという仕事なのだと僕は思うのです。舞台に立つ人間が届ける音楽や言葉、表情。それらは無味無臭な生活に大きな彩りを与えてくれます。ただ衣食住さえ揃っていれば、確かに毎日をやり過ごすことは出来るのかもしれない。だけれど生活に彩りを添える文化があるからこそ、僕らはこの世界でヒトとして生きていけるのではないかと思うのです。
歌や言葉のチカラって、凄いんだぜ。エンターテインメントって、凄いんだぜ。
■3月の終わりに向けて
そして3月23日。
唐突に公式から発表がありました。あのコが帰ってきます。
この大きな発表をもって、公式HPの10周年の装飾は役割を終えました。
僕はもう何もいうことがありません。
彼女らの信じて培ってきたものが、最大限の力で発揮される準備が整いました。
あとは最高の笑顔でそれを受け止め、それをステージに返すこと。それが出来る日を信じて待つのみです。
さっそく6人の写真も出てきましたね。
本当は歌っている場合じゃないのかもしれない。
しかし、わりとそうでもないのかもしれない。
むしろ、大声で歌うべきときなのかもしれない。
だから僕は『待ってるぞ』ともう一回つぶやいて、
世界の明るさをもう一度信じてみるだけなのです。
といったあたりで、今回はおしまい。
それではそろそろ寝ますです。
おやすみなさいグー。