まちの科学者のブログ -2ページ目

薬はなぜ多めに飲んではいけないのか?

薬を多めに飲んで、早くなおそう!

そう考えたことはある人は多いのではないか。

ドラクエでいえば、やくそうを使えばその分、HPは回復し、
毒薬を使えば、すぐに治してくれる。
良いことしかおこらない。
ここで考えてもらいたいのは、
TVゲームなどは、わかりやすくするために、単純化されているということだ。
そのため、アイテムに対するゲームキャラクターの反応は部分的になっている。
やくそうなら、HPだけに効くし、毒薬なら毒だけに効くといった具合だ。
かたや、薬に対する体の反応はかなり複雑である。

ドラッグストアで働いているころ、
何千人もの人に薬を正しく使うことの理由を説明してきて、
一番納得してもらえたのは次のような話をしたときだ。

頭が痛いときに、なぜ飲み薬が効くのかわかりますか?

口と頭がつながっているといった面白い発想の人もいるが、これは間違いだ。
たいていの人は頭にいくからと答えるが、どのように行くのか完璧に答えられる人は少ない。

大切なことは、口から入った薬は、おなかで溶けたあとに
血液に入り、全身をまわって、頭に到着するということ。
このプロセスの中で、
頭以外のところに薬がいってしまい、
痛みを抑える以外の効果がおきてしまう。
例えば、おなかの粘膜を減らしてしまって、胃を荒らしてしまったり、
のどの粘液量を減らして、のどがカラカラになってしまったり。
こういった期待していない効果がおこる、、、これを副作用という。
なので、たくさん飲んだからといって、頭だけに薬が効くのではない。
多く飲んでも早くなおることはありません。
多く飲むと、副作用のリスクは増えるし、薬代も多くかかってしまう。
だから、正しい使い方を守ってください。

と説明すると、
多くの人が、そうなのか、わかった。と言ってくださる。

どの薬を飲むのか、飲まないのか選択することはとても難しいことだ。
例えば膀胱ガンでは、MVAC療法とGC療法という抗がん剤治療法がある。
GC療法はMVAC療法よりも半年間、寿命がのびるかわりに、辛く厳しい副作用が待っている。
どちらを選ぶかは、個人の人生観、金銭的な状況、医療環境などから考えるべきことだ。
正解はどこにもない。

しかし、間違った考えから、
正しく薬を使わないことは個人にとっても、国家にとってもマイナスである。

最近、中学校の保健体育に「医薬品を正しく使用すること」という文言が記載されたようだ。
食育だけでなく、薬育というものも、今後広がっていくことと思う。

ネットやテレビ、ゲームなど様々なメディアによる情報の影響を
受けている子供たちが正しい知識をつけるべきことはこんなところにあるのかもしれない。


食品安全委員会のカキがこげている件

食品安全委員会の情報は有用だと思う。

しかし、気になる点がある。

食品の情報に対する考えに、あまりに人間味が少ないのではないか。

例えば、ノロウイルスが85℃、1分以上の加熱で死ぬことを広報するために、
カキやカキフライのいくつかの温度で加熱した様子が写真入りで紹介されている。
http://www.fsc.go.jp/sonota/shokutyudoku_kanetu.pdf

こげかけているカキフライ、萎縮してしまったゆでがき。
磯の香りどころの話ではなく、さしづめ焼け野原といったところか。

果たして、このとおり加熱しようと思う人はいるのだろうか。

私は老人ではないので、死ぬ確率は限りなくゼロに近いであろうから
ノロウイルス中毒になるのを覚悟でジューシーなカキを食べたい。

食品を、科学することは結構だが、
美味である、ということがヒトにとっていかに重要であるかをもう少し科学してもらいたいと思う。

野菜ジュースは体に吸収されないのか?

「おれは野菜ジュース飲んでいるから、野菜はたべないのだ。」
とある友人が言い、
「野菜ジュースは栄養素が吸収されないって聞いたことあるよ。」
別の友人が言った。

実際のどうなんだろうか?
なんとなく、ジュース状になった方が吸収しやすい気がするが、、、。

実際に吸収されやすくなっている成分もあるようだ。
例えば、トマトに多く含まれているリコピンという成分は、2006年のReboulらの研究によるとジュース状トマトは果実トマトに比べて16倍吸収されやすいということが報告されている。

友人の聞いた噂の出所はどうやら、ジュースをつくる行程にあるようだ。
キーワードは加熱と除去だ。

市販のモノはどうやら大半が衛生的な理由から加熱されているようだ。
ということは、ビタミンCなど熱に弱い成分が減少する。

また、野菜を粉砕すると、水にとけない固形分が出てくるだろう。
飲み物として販売する以上、これらを多少除去することになる。
ゆえに食物繊維が減少する。

この2つの行程による栄養素の損失が、
野菜ジュースは体に吸収されないという噂を生み出した張本人と思われる。

それならば、
野菜をジュースする際に加熱も除去もしなければ、
吸収されやすい成分を増加させ、減少する成分を最小限にできるということだ。

明日から、クイジナートのようなフードプロセッサーを使って、
手作り生ジュースでも作ってみましょうか。