最初に話しておかなくてはならないのですが、楽譜なんて読めなくても優れた作曲家、演奏者になれます。ビートルズだって全然読めない(読む必要はない?)でもあんなにたくさんの名曲、そして名演奏を残していますし、ロック、ポップスのアーティストでもいちいち譜面書くより、思い浮かんだメロディを何かに録音して・・・というパターンでしょう。

小学生の頃、音楽をやろうとすると、すべてが学校の音楽の授業の延長になり、楽譜を読まないと先に進まないことにいい加減辟易としていました。結果的に「自分は楽譜とは関係ない音楽をやって生きていく」みたいな考え方になっていました。

そして、なるべく楽譜とは関係のない仲間たちとそれなりの音楽をやっていたのですが、毎回ハーモニーやらフレーズが違います。でも、最終的にはどっかでレコーディングするのが最終稿、みたいに考えていたので、その日の気分でみんな演奏していました。

もっともっと年月が経っていき、今後音楽は自分一人の力でやらなければならなくなったとき、気がついたのです。

楽譜が読めなくても良い人種、というのがいて、それ以外は相手にされない、ということです。

その人種とは

・一回聞いたフレーズは忘れない
・しかもそれをすぐ演奏できる
・耳が良くてコードやハーモニーがすぐに理解できる
・絶対音感がある
・他のプレーヤーに的確に指示ができる
・常に楽曲に対してマッチした演奏ができる


残念ながら私にはひとつもあてはまりませんでした・・・

そうなると、音楽に目覚めてから20年近く避けてきた楽譜を読めないと話にならないことを認めざるを得ませんでした。ましてや、私が最終的になりたかったのはアレンジャーでしたので、アレンジャーが楽譜を読めない/書けないということは通常あり得ない話しでした。
(打ち込みなどでデモテープを作り、それを「アレンジ」という解釈も成り立つのですが、やはりそれは邪道に感じたのですね)。

もちろん、楽譜が読み書きできたからと言ってそれがすぐに仕事に結びつくわけではありませんが、プレーヤーとして「何が起こっているのか」を把握できない、あるいはアレンジャーとして「どこにハーモニーの起伏があるか」がわからないのでは話しになりませんよね。

かつて、教則ビデオの中でジャコ・パストリアスが言っていました。
「君は楽譜が読めるかい?って聞かれたとき『ちょっとね』なんて言うやつがいるが、実際には『ちょっとね』、なんていうのはあり得ない。プロの世界では『読めるか読めないか』しかないんだ」と。

しかもそれは、30歳を目前に控えたところからのスタートでした・・・