通常のアレンジ、つまりメロ譜からアレンジを起こす作業というのは、すべてお任せ(とか言っておいて全然任されないこともあるけど)なので、自分の流儀でアレンジして打ち込んでいくのだけど、仕事によっては、すでにアレンジされたものを形にする、というものもある。


その中でも、レコード大賞編曲賞受賞の御大の大先生のは、完全なレコーディングのためのスコア譜が送られてくる。このままパート譜にしてバンドに演奏させてもOK、という完全なものだ。もちろん、アクセントからレガート、スタッカート、フォルテ、ピアノなどの演奏指示やら、ストリングス部隊の人数まで指定してある。


このスコア譜を元に、ひたすらパートを打ち込んでいく作業になるのだけど、どうよ、これ。まあ、見にくくてよくわからないだろうけど、今回のは22パートですわよ。しかも楽器の持ち替えもあるから合計24パートな訳。1パート1時間でやっても丸24時間はかかるんだな、これが。

しかも、本当に細かく演奏指示が書いてあって、ちゃんとやらないと怒られる(もっとスタッカートをはっきり、レガートはスムースに!)。


大先生の仕事はかれこれ50曲近くになるけれど、この仕事のおかげで僕は譜面に強くなった。「そうか、こうしたい時にはこう書くんだな」とか「なんだ、これで良いのか」みたいなことを感じながら、少しずつ譜面を読んだり書いたりすることがおっくうじゃなくなったんだな。

それに、やっぱり正統派のアレンジの手法を学ぶことができたり、演歌っぽいフレーズを覚えたりと「お金をもらいながら修行している」という感じ。この大先生の仕事をしていなかったら、今頃演歌/歌謡曲のアレンジの仕事なんかできたなかったろうと思う。


譜面を打ち込むだけで丸1日以上、そしてこれから細かいニュアンスをつけていくのにまた1日以上かかるので、まだ油断できないけど、これもまた勉強。こうしてどんどん自分の中にボキャブラリーが増えていくのを感じながら、今日もまたシコシコと取り組んでいる。