秋めいて来ました | mizuochi understanding

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ロックンロールバンドのブログです。

こんにちは。

 
すっかり秋めいて来ました。
 
秋と言えば、読書の秋、食欲の秋などなど
 
心も身体も吸収したい季節。
 
僕は何を吸収しているかな?
 
食後の余分な菓子類がやめられません、、、
 
赤西蠣太か?!
 
すみません、誰ですか?となりますね。
 
赤西蠣太とは架空の武士の名前で
 
そのままタイトルになっている
 
1917年の志賀直哉の短編小説です。
 
 
16歳の頃に志賀直哉の『城の崎にて』が教科書に載っていて、当時、授業は聞かなくても新しい教科書を手にするとまず全部読んでいました。
一度読んだだけでかなり感動して、すぐに本屋さんで志賀直哉を探し、気がつくと全作品を読みました。
あの頃から気に入った作家は全作品を読むと言うクセがつき、それはロックバンドでも同じ様に楽しむ事になりました。
 
『赤西蠣太』は1936年に映画化もされ、片岡知恵蔵は主人公で醜男の赤西蠣太と男前の原田甲斐の二役を演じると言う当時のファンを驚かせながらも、その完成度の高さから絶賛されました。
 
内容は醜男の赤西蠣太は忠実な侍で、殿様の命令で侵入捜査をし、役目を終えて無難に帰る口実作りの為に美しい腰元に振られる予定で恋文を出すが、予想を反してOKの返事をもらってしまう。
いくら殿様の命令とは言え、人の気持ちを軽はずみに扱ってしまった事に悩む蠣太だが、最後は任務に忠実に従うと言う志賀直哉得意の人間ドラマ。
この赤西蠣太は酒も飲まない女性にも奥手な真面目な男で、唯一の楽しみが菓子を食べる事でした。
 
僕は当時これを読んで少なからずとも影響を受けたと思います。
 
日本文学の中でも白樺派の志賀直哉は小説の神様と言われる程文章が明確で、短いセンテンスの中に必要な言葉が余分なく、この後にコピーライティングの講義にも大きく役立ちました。
 
秋の夜長、興味を持たれた方は一度読んでみて下さい。おすすめします。