ウチのバンドにおけるDr.Feelgoodについて書いています。
Stupidity(1976年)

モノラル録音の衝撃デビュー盤から2枚目を9カ月後にリリースし
その後1年も経たないうちに発表されたライブ盤。
地元エセックスのパブから火が付き、ホール2か所でのコンサートを収録。
これが本領発揮で、なんと一気に全英No1になってしまいました。
ライブアルバムとしても、フィールグッズとしても非常に完成度の高いアルバムで
当時の時代を考えると頷けるものがありますが
(1976年、つまり1977年パンクロック生誕の前年です)
コジンマリしたパブで人気が出て、アルバムもリリースし、順風満帆のバンド、、、
しかし、売れるという事は予想を反する日常を生んでしまいます。
この時、ソングライティングを担っていたのは28歳ギターのウィルコジョンソン。
彼はドラムのビッグフィギャーとは旧知の仲で、バンド結成前にヒッピー文化に憧れ
インド旅行に出掛け、戻った後は学校で先生をしていた不思議な経歴を持っています。
ボーカルのリーブリローとは5歳も年上。
売れたフィールグッズは一気に多忙となり、ライブ・ライブ、ツアーだらけの毎日と
新曲への期待など、次から次へと目まぐるしい日々が始まりました。
年長者であり、ソングライターであるウィルコは、なんと僕と同じで酒を飲みません。
メンバーが毎日酒盛りを繰り返す中、プレッシャーと責任感で精神的に追い込まれてきます。
メンバーとは日に日に距離が出来、そのうちアルコールを飲めないウィルコはあろうことか
ドラッグに逃げ場を求めます。徐々に制御が取れなくなったウィルコ。
とうとうステージから逃げ出すという事態となってしまいます。
それでも売れているバンドはアクセルを踏み続け、アメリカツアー、ニューアルバムの制作と
ウィルコの限界をどんどん超えて行き、オリジナルが追いつかなくなった時点の4枚目アルバム
リリース時にはウィルコジョンソンを解雇せざる尾を得ない状況となります。
ここで僕が言いたいのは、バンドが売れる事はとても嬉しい事ではありますが
売れる事が目標にしたバンドなのかどうかは、結成時にしっかりと明確にしておかないといけない。
つまり、普通、世間のロックスターと言われるバンドやアーティストは売れる為にレコードを出し
コンサートを行う。ほとんどの場合、事務所に所属し、レコード会社から音源をリリースする。
つまり産業構造の中に、既に商品としてマーケットに存在する「モノ」となってしまう訳です。
売れるという事は多くの人が関わり、それぞれの生活を担うという事に結果としてなります。
そうなってしまえば、バンドやアーティストの勝手な思惑で音楽が作れなくなってしまう。
mizuochi & the undesrstanding は、そう言った煩わしい軋轢から影響を受けない様にするため
独立したレコードレーベルを立ちあげ、どこの事務所にも所属せず、自由に活動しています。
現に売れていませんから、現状は全くなにも問題が起こっていませんが、仮に売れたとしても
基本的なスタンスは変えるつもりはありません。
誰かに指示を受けて、いついつまでに何をして、どこで演奏しなければならないとか
はたまた、こんな感じの音楽を作るもしくは何々風みたいな脚色を誰かにされるだとか
こんな内容の歌を歌えだとか、歌ってはダメだとかは言われたくない。
エラそうに書いていますが、音楽を作って、時間だけはそれなりに経過する中で
自分の活動の基本が今、実現できています。
みなさんに本当に聞いて貰いたい音楽を作り続けたい。
聞いて頂ける方が増えるのはすごく嬉しくてありがたいのは間違いないですが
多くの方に評価していただく事と巨万の富を手に入れるという事は全く違います。
なので「ビッグになる」とか「金持ちになる」とか「モテたい」とかではないところで
音楽を届けて行きたいと考えています。
今回はフィールグッズの影響というよりはフィールグッズの事件から学ぶ僕の考えを書きました。
次回はそれぞれの曲について取り上げてみたいと思います。